アジャイルメディア・ネットワーク 【東証グロース:6573】「サービス業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの目指す姿として「ビジョン」「ミッション」を以下のとおり定め、企業や製品のファンによるクチコミや購買の促進を支援する様々なサービスを提供しております。
<ビジョン>
世界中の"好き"を加速する
<ミッション>
個の力を最大化し、“小さな経済”を成長させる
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各営業課題に取り組んでまいります。
(3) 対処すべき課題等
①不適切な資金流用及び会計処理への再発防止策の徹底
当社は、2021 年6月 16 日付「2021 年 12 月期第1四半期報告書の提出期限の延長(再延長)に係る承認申請書提出のお知らせ」及び同年6月 21 日付「第三者委員会の最終調査報告書公表及び役員報酬の減額に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、第三者委員会による調査の結果、元役員による不適切な資金流用が行われていたこと、及びその後の社内調査により、ソフトウエア資産において不適切な会計処理が行われていたことが判明いたしました。
当社は、本事案を受け、第三者委員会の最終調査報告書による原因分析及び提言を真摯に受け止め、再発防止策を策定し、継続して運用をおこなっておりました。しかしながら、2022年1月、当社台湾子会社ならびに当社の過去の取引において新たに不適切な会計処理が発覚し、2022年2月1日付「第三者委員会の設置及び2021年12月期決算発表の延期に関するお知らせ」にて開示のとおり、前回調査で発覚しなかった疑義について、再度、第三者委員会を設置し調査を実施いたしました。調査結果については、2022年4月11日付「第三者委員会の調査報告書の公表について」にて開示しております。
これら2回の調査結果では、取締役会や監査役による業務執行に対する監督機能及び牽制機能の機能不全、内部監査の不足、社内規程及び業務フローの不備並びにこれらの運用方法の周知不足、役職員のコンプライアンス意識の欠如など、内部管理体制等の不備が一連の不祥事の原因であることが明らかにされました。また、当社の内部管理体制等に改善の必要性が高いと認められ、2022年6月16日付で、当社株式は東京証券取引所から特設注意市場銘柄の指定を受けました。
当社は、これらの2度にわたる第三者委員会の調査報告の結果と特設注意市場銘柄の指定を重く受け止め、2022年9月30日付「「改善計画・状況報告書」の公表について」にてお知らせのとおり、以下の再発防止策を策定し、コーポレートガバナンスの強化、内部管理体制の整備等、再発防止策の実施に真摯に取り組みました。2023年6月16日、これら再発防止策の実施状況や今後の改善策の運用方針等を取りまとめた「内部管理体制確認書」を東京証券取引所に提出したところ、経営体制の刷新や監査等委員会設置会社への移行を始めとした内部管理体制の改善が認められ、2023年8月30日付で、特設注意市場銘柄の指定を解除されることができました。
当社は、この一連の不祥事により、株主、投資家及び取引先などステークホルダーの皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを忘れず、今後も内部管理体制を常に見直し、体制の整備・強化を継続するとともに、当社グループ一丸となって、企業価値の向上に向け全力を尽くしてまいります。
(1)コーポレート・ガバナンス体制の強化
① ガバナンス強化委員会の設置
当社の取締役会や監査役会が適切に機能していなかった原因の一つとして、これらを支援する独立した機関がなかったことを鑑みて、2022年より当社のコーポレートガバナンス体制の強化に向けた取り組みを包括的に支援する独立した機関であるガバナンス強化委員会を設置しております。ガバナンス強化委員会の主な役割は、取締役会や監査等委員会の適切な運営や、実効的な内部監査の実施、社内規程や業務フローの見直し改善など本書に記載された改善計画の取り組みを、諮問機関として支援することになります。
② 役員選任基準や適合状況の検討フローの見直し
役員候補者のコンプライアンスに対する意識をより重視し、ガバナンス強化委員会による適正チェックなども活用して役員の適正性をより客観的に把握し、候補者選定に役立てられるように体制を整えました。今後も継続して運用してまいります。
③ 取締役会報告内容の充実
取締役会へ提出する資料について販管費明細の細分化、資料作成方法のマニュアル化、事前提出期限の策定などを行ってまいりましたが、全社的な統制/牽制のさらなる強化、及び取締役会における戦略立案のための議論を深めることを目的に、会計システムから出力される詳細な業績データを添付するなど取締役会へ提出される資料の充実を図ってまいります。
④ 取締役会議事録の内容充実及び作成方法
取締役会での議論をより網羅的に取締役会議事録に記載しており、取締役会の場で発言することや議論への積極的な参加の重要性を改めて確認するとともに取締役会においてより深い議論を行っております。取締役会議事録の充実にあたっては、2022年8月9日開催の取締役会から議論を全て録音する運用を行っております。会議での発言要約を文字おこししたものを別途保管し、取締役会議事録の根拠資料としておりいます。また、ガバナンス強化委員会への諮問事項に加え、取締役会の適正な運営を行っております。
⑤ 経理チームにおける出納担当者・承認者/計上担当者・承認者の明確な分離
出納と計上の分離に関して経理規程などの関連規程を見直すとともに、実際に出納と計上の担当者を分離しました。具体的には出納担当1名、計上担当1名が実施しております。また、更に別の者が承認する体制としております。
(2)情報収集体制の強化
① 外部機関への内部通報窓口の設置
2021年10月に社外監査役を内部通報窓口として社内周知いたしましたが、2022年11月から更に内部通報窓口を安心して利用できるようにするため、社外監査役の内部通報窓口に代えて、完全に中立な立場にある外部の内部通報窓口サービスを設置し、内部通報をより適切に対処する体制を整備いたしました。窓口変更後も、通報内容に関する守秘義務の徹底、通報を理由とする不利益な取扱いの防止等、2022年6月1日に施行した改正公益通報者保護法及びそのガイドラインに則した運営をしております。
② 内部通報制度の周知徹底と信頼性の醸成
内部通報制度について社内研修や全体会などの場での、役職員への周知をより徹底いたします。内部通報窓口の存在とその連絡方法、情報提供者の秘匿及び不利益扱いの禁止について改めて周知することで、コンプライアンス違反を社員が認識した際に、速やかに内部通報窓口に連絡をすることができるような社内環境を作ってまいります。
③ 役職員への定期的なアンケート調査
当社役職員へコンプライアンス違反についての 2022 年 12 月より定期的なアンケートを実施し、情報収集
に努めます。
(3)内部監査体制の見直し
① 監査等委員会との連携強化
月に一度、内部監査室から監査等委員会へ内部監査業務の内容を報告させる体制を整備し、必要に応じて監査等委員会の指示に従い、内部監査室が内部監査を実施するなどの体制を整備しました。また四半期ごとの報告では、内部監査のスケジュール、重点監査項目、ヒアリング内容、中間結果及び最終結果といった、四半期ごとの内部監査の計画から実施結果まで取り上げる体制を整備いたしました。
② 内部監査室の専任担当者の確保及び外部専門家によるサポート体制の構築
2022年9月より専任の内部監査担当者を設置しております。内部監査室の専任担当者は内部監査の実務に長期間従事しており、当社及び当社グループの内部監査を実施するにあたり必要な知見を一定程度有しております。また、内部監査の知見のある専門家のある外部専門家の人員1名を内部監査室に追加配置し内部監査体制の強化を図っております。
③ 社内情報へのアクセス権限の見直し
内部監査室が内部監査を遂行する上で必要な社内情報へのアクセス権限は適宜見直されており、内部監査をより機動的に遂行できる体制を確保しております。
(4)監査等委員会における監査の実効性担保
① 内部監査室と監査等委員会の連携強化及び監査等委員間における情報共有の促進
監査等委員会と内部監査室との連携をこれまで以上に強化することで、より実効的な監査体制を構築するため、監査等委員会が内部監査室から監査の方針や進捗について報告を求めることができるように内部監査規程を改定し、報告内容に基づいて内部監査室に対して具体的な指示を行うことができるような体制を整備しております。また、監査等委員間でのコミュニケーションを密にできるような環境を構築しております。
② 社内情報へのアクセス権限の見直し
監査等委員が監査を遂行する上で必要な社内情報へのアクセス権限は適宜見直されており、監査等委員による監査をより機動的に遂行できる体制を確保しております。
(5)社内規程の整備・改定及び業務フローの見直し
① 社内規程の包括的な見直しと社内周知の徹底
当社にある規程全体については一斉に点検が行われ、それぞれの規程について改定の必要性を監査等委員会、内部監査室とも協議しながら判断し、社内改善分科会にて検討した結果を反映する形で必要な改定を行い、改定が済んだ規程に関しては速やかに周知を行いました。ガバナンス強化委員会においても、規程の改定内容も含め規程の改定の必要性及び十分性を確認しました。今後も必要に応じて規程を見直してまいります。
② 経理部門の専門知識の向上
財務経理部において当社に必要な会計専門知識を習得し、個別の会計処理の適否を検討できるよう、また、必要に応じて事業部門の社員への会計処理の指導を行うことができるよう、財務経理部が外部の会計専門家に都度確認したり、外部の会計専門家から研修を受けたりすることのできる体制を確保しております。
(6)コンプライアンス意識の向上
① 役職員に対するリスク・コンプライアンス意識の改革
当社のコンプライアンスに関する施策の最優先課題として、役職員へのリスク・コンプライアンス意識を高め、維持していくことが必要であると認識しています。このため、当社の全役職員(契約社員・派遣社員を含む)に対して、外部の専門家によるリスク・コンプライアンス研修を年 2 回実施し、徹底したコンプライアンス意識の醸成を図っております。
② コンプライアンス専門組織の設置
社内に対しては会社としてコンプライアンスを重視していること、また社外に対してコンプライアンス経営を推進していることを周知していくために、法務・コンプライアンスを担当する独立した組織の設置が必要であると考え、そこで、管理を管掌する取締役の下に法務・コンプライアンス部を設置しております。法務・コンプライアンス部の役割としては、通常の法務業務に加えて、コンプライアンス教育計画の立案、コンプライアンス研修の実施、コンプライアンス研修後アンケートの監修/実施/報告といった役職員に対するコンプライアンス教育や内部通報制度の周知徹底などのコンプライアンスに関わる業務を専門的に担うこととし、当社として、これらを確実に実施、履行できる体制を確保しております。
③ 人事評価における職業倫理チェックシートの活用
2023年1月から職業倫理チェックシートを人事評価の指標の一つとして活用することで、会社としてコンプライアンスを重視していることを全社的に明確にしております。職業倫理を基礎とした評価を人事評価に繋げることで、コンプライアンス意識の向上を図ってまいります。
上記具体策を実行するにあたり、監査等委員会を中心とした定期進捗モニタリングにより、適時に状況を把握し、改善に努めてまいります。
② アンバサダー事業の収益拡大
イ.顧客基盤の拡大について
当社グループの主力事業であるアンバサダー事業は、これまで大手企業が中心でありましたが、2020年より中小企業向けのサービス提供を開始し、顧客基盤の拡大に取り組んでまいりました。2023年にはさらにここを強化すべく、既存顧客の声に応えた機能の追加やサービスの改善を行ってまいりました。また、これまでは当社の基幹システム「アンバサダープラットフォーム」を軸としたファンコミュニティの提案が中心となっておりましたが、今後はマーケティング戦略上連携が求められやすいSNSアカウント運用やインフルエンサー活用などを組み合わせた提案活動を強化していくことで、サービス提供範囲を拡大してまいります。これらSNSアカウント運用やインフルエンサー市場も、ある程度成熟してきていることから、「次の一手」として候補にあがるアンバサダーマーケティングの拡大余地は大きいと考えており積極的な営業活動が必要と考えております。
ロ.アンバサダー活動のモデル化及びそのノウハウについて
当社グループが支援する企業におけるアンバサダーとの活動は、直接会って交流するリアルイベントから、インターネットを通じて参加できる企画、商品開発、販促物制作など様々です。
今後は業種・業態に合わせた活性化プログラムの開発を推進し、交流する際のノウハウを提供することで導入の障壁を下げることが必要であると考えております。
ハ.アンバサダープラットフォームの機能充実について
当社グループの基幹システムであるアンバサダープラットフォームはアンバサダーの発見、影響力/発言分析、コミュニケーションをワンストップで提供しており、この機能開発への投資を継続的に行っております。
現在は導入企業の顧客データとの連係や、企業担当者による運営負荷を軽減するオペレーションの自動化機能などの開発を進めており、アンバサダープログラムのさらなる価値向上に努めております。また、企業や外部機関が保有する様々な「外部データ」と、アンバサダーの「クチコミデータ」を連携することで更なる価値証明が可能となるため、データ連携、機能開発への投資が必要と考えております。
③ アンバサダープログラムのサービス拡充と高付加価値化
当社グループが行う事業報告セグメントは企業向けサービス提供を前提とした「アンバサダー事業」のみとなっており、ひとつの事業モデルに依存している状況にあるため、複数のビジネスモデルを持ち、より頑強な組織へと成長していくことが今後の発展において重要であると考えております。
今後は、サービスの提供先を企業だけでなく一般の消費者・地方自治体等にも広げ「アンバサダー」のさらなる可能性を見出すとともに、当社のテクノロジーと企画・運営ノウハウを活用した販促・購買支援、市場調査、商品開発など新たな収益性の見込めるサービス展開を進めてまいります。
④ 効果検証活動
当社グループではアンバサダーによる貢献効果をデジタル、リアルの両面で検証しております。今までの効果検証により、アンバサダープログラムの導入によって、アンバサダーの発言活性化効果や、周囲の友人や知人にオススメする貢献が確認されております。
今後もアンバサダープログラムを通じたアンバサダーによる貢献効果の検証活動が重要と考えており、来店・誘導貢献、購買貢献など多面的に貢献を明らかにするべく一層の検証活動を強化してまいります。
⑤ 当社グループ及びサービスブランドの知名度向上について
当社グループは、インターネットの普及や「アンバサダー」の重要性の高まりと共に、新聞・テレビ・雑誌等各種マスメディアで紹介される機会が増加したことから、徐々に知名度が向上しつつあると認識しております。しかしながら、更なる事業拡大及び他のSNSマーケティング施策との差別化を図るにあたり、当社のブランドを確立し、より一層知名度を向上させていくことが重要です。今後も、費用対効果に注意を払いながらプロモーション活動を強化してまいります。
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