アジアクエスト 【東証グロース:4261】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「時代の変化の中に、無限の機会を見出し、そこに価値を提供していくこと」という理念のもと、IoT/AI、クラウド、モバイル等のデジタルテクノロジーを駆使したシステムインテグレーションを行い、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現に貢献していくことを経営の基本方針としております。
デジタルトランスフォーメーションには、失敗を恐れないチャレンジする姿勢が重要となります。当社は「Pure Challenge with You」をスローガンに、企業や人材の変革へのチャレンジに寄り添ってまいります。
(2) 経営環境
新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、行動制限が緩和され経済活動の正常化に向けた動きが見られたものの、ウクライナ情勢等による原材料価格の上昇や急激な円安の進行等により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
一方で、新型コロナウイルス感染症拡大により、従来の価値観やビジネスの仕組みは大きく変容しようとしており、ニューノーマルと言われる新たな社会の実現に向けたデジタルトランスフォーメーションの取り組みが加速しております。「DXレポート」(出典元:経済産業省、DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~、2018年9月7日)において「2025年の崖」と題して、多くの日本企業が老巧化した基幹系システムを放置していることからくるリスクが提言されました。「2025年の崖」とは、IT人材の深刻な不足も伴い、この状況を早急に改善せねば日本企業は崖から転落する様な事態となるとの警笛です。老巧化した巨大基幹系システムを、先端のデジタル技術やクラウド基盤を活用した小回りの効くシステムに刷新していくことは企業の急務でありますが、基幹系システム(レガシーシステム)の保守運用こそがSIerの主な収益源でもあるため、従来のSIの枠組みでは変革が進まないという現状があります。近年、IoTやAI、クラウドコンピューティングといった最先端のデジタル技術が実用段階に入ったことにより、それらの技術を活用したビジネスモデルの変革や新規ビジネスを創出するデジタルトランスフォーメーションのニーズが急激に高まっていると認識しております。デジタルトランスフォーメーション市場の国内における規模は、2020年時点の1兆3,821億円から2030年には5兆1,957億円まで拡大するとの予測もあり、当市場に属する当社グループにとって追い風となっております(出典元:富士キメラ総研、2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望、2022年1月13日発刊)。
当社グループは、幅広い産業分野の企業に対しサービスを提供しており、IoT、AI、クラウド、Web、モバイル、RPA等の多岐に渡るデジタル技術及びコンサルティングをワンストップで提供可能である点は、競合他社比で強みであると認識しております。また、当社グループは、アジアクエスト株式会社を中心に、インドネシア現地法人であるPT.AQ Business Consulting Indonesia、マレーシア現地法人であるAsiaQuest Internet Malaysia SDN.BHD.の3社で構成されており、今後国内においてIT人材の不足が深刻化していく中、海外の企業やリソースを活用するオフショア開発が可能な体制を有していることも強みとなっております。このような環境の下、当社グループは、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現を支援することを通じて、事業規模の拡大及び企業価値の向上を目指すべく、以下を中長期的な経営戦略として位置付けております。
(3) 中長期的な経営戦略
① 対応技術分野の拡大
様々なデジタル技術を顧客企業のビジネスと有機的に結びつけることで、より革新的なサービス構築が可能となります。現在当社グループが取り組んでいるIoT、AI、クラウド、Web、モバイル、RPA等に加えて、今後デジタルトランスフォーメーション分野で期待されるブロックチェーン等への技術拡大を図ってまいります。
② コンサルティング領域の拡大
顧客企業のデジタルトランスフォーメーション実現を支援していく上で、方針の策定や業務変革等のコンサルティングが求められる案件が増加しております。そのため、コンサルティング人材の育成・積極採用により、顧客企業のデジタルトランスフォーメーションに企画から開発・運営までワンストップで実現できる体制を強化してまいります。
③ 海外拠点の拡大
インドネシア及びマレーシアの海外拠点の存在は当社グループの強みであります。
当面は、十分な市場規模を有するインドネシア、マレーシアへ進出済の海外子会社にて、現地日系企業及びローカル企業の更なる顧客開拓により、海外事業基盤の拡充を図ってまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の収束時期等も見定めながら、他の東南アジア諸国への新規拠点展開についても検討してまいります。
④ アライアンスの拡大
2021年4月には西日本電信電話株式会社と資本業務提携を行っておりますが、今後も引き続き事業シナジー創出の見込めるアライアンスを拡大してまいります。また、デジタルトランスフォーメーション実現のために必要となるインフラ・ITツール・システム等の仕入・外注パートナーについても、事業成長に応じて拡大してまいります。
⑤ プロダクトやサービスの展開
当社グループは、人やモノの位置情報をマネージメントするIoTサービス「beaconnect plus」や、複数のクラウド環境を統合マネージメントするマルチクラウドマネジメントサービス「まるクラ」等のサービスを展開しております。
当社グループがこれまで行ってきた数多くのプロジェクトの中で、当社グループに留保されてきた技術資産を加工することで、今後も当社グループのシステムインテグレーションの付加価値を上げるプロダクトやサービスを開発することを検討してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは現在成長段階にあり、顧客企業に付加価値の高いサービスを提供し続けることにより株主の成長期待に応えるべく、事業の継続的な拡大と企業価値の向上を図ることが重要だと認識しており、事業の成長性を表す指標として売上高成長率、収益性を表す指標として営業利益率を重視しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、今後さらなる成長を実現する上で以下の事項を経営課題として重視しております。
① 受注体制の強化について
今後益々デジタルトランスフォーメーションへの投資を行っていく企業の増加が見込まれる中、事業の継続的な拡大と企業価値向上のためには、特に営業力が課題であると認識しております。広報活動による当社の認知度・ブランド力の向上、WEBマーケティングやウェビナー開催によるリード拡大に注力するとともに、営業部門の人員増加、他社製品・サービスとの相互補完や新規カスタマイズ案件獲得等の営業活動拡大等により、受注体制の強化を図ってまいります。
② 技術者人材の確保・育成について
IT人材が不足している中、IT人材の確保が、企業の発展、成長に欠かせない最重要課題であります。当社グループにおいても、社員紹介制度等のリファラル採用の強化や、社外のITエンジニアが参加可能な勉強会等のイベント開催による採用母集団の形成等、今後益々採用に力を入れ、人材を獲得してまいります。
また、採用後の人材育成も重要な課題と捉えております。外部の著名な講師(ITエンジニア)を招いた技術研修等の社内研修制度の充実や、社外セミナーへの参加等の外部研修制度の有効活用により、技術力の向上を図ってまいります。
③ 海外展開について
今後、日本企業の海外進出は益々拡大していく中、海外でのシステムインテグレーション及びデジタルトランスフォーメーションのニーズは拡大していきます。
しかしながら、日本企業の求める品質・スピードでシステム提供を行えるベンダーは現地において少なく(※)、高品質で小回りの効くSIベンダーの存在は貴重であるものの、現在当社グループが進出しているのはインドネシアとマレーシアの2拠点にとどまっております。顧客のニーズを捉えるため当社グループは今後、日本企業が多く進出する他の東南アジア諸国へも進出を図る方針です。具体的な進出先候補としましては、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム等の経済成長の著しいASEAN主要国を検討しております。
(※)在インドネシア日系企業1,489社の内、情報通信産業は29社のみとなっています(出展元:JETRO、インドネシア進出日系企業リスト、2020年1月)。
④ 売上高及び営業利益率の向上
当社グループは成長戦略を着実に実行していくことで売上高の安定的高成長を実現するとともに、売上高及び営業利益率の向上を図ることが課題だと認識しております。上記②に記載したとおり、採用力強化により技術者人材を増員することで、売上高の成長を図ってまいります。それと同時に、対応技術分野やコンサルティング領域の拡大等により、付加価値の高いサービスを提供し受注単価の向上に努めることで、売上高及び営業利益率の向上を図ってまいります。
⑤ 経営管理体制の強化
当社グループは成長段階にあるため、ここ数年で組織が急速に拡大しておりますが、事業の継続的な成長には業務運営の効率化やリスク管理のための十分な内部管理体制の整備、マネジメント人材の拡充が重要だと考えております。このため、生産性向上や業務効率化のために社内情報システムへの投資などを積極的に行ってまいります。また、組織の拡大ペースに合わせる形でマネジメント人材の採用や育成、教育研修等を実施していく方針です。
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