企業アシックス東証プライム:7936】「その他製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

(Ⅰ)経営の基本方針

 アシックスグループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし- "Anima Sana In Corpore Sano"」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。

(Ⅱ)長期ビジョン「VISION2030」策定

 当社は、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、主に「パフォーマンス・アスリート」のための「プロダクト」を中心にビジネスを展開してきました。しかし、世界の60歳以上の人口が今後非常に速いペースで伸びていくことが予測され、より長く健康でいることが注目されています。また「健康」の定義も、昨今は身体の健康だけでなく、心の健康まで含めるようになっています。このように急激に変化していく社会環境の中で創業哲学を実現するため、誰もが一生涯「ライフタイム・アスリート」として、スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造していくことを目指し、そのために当社が2030年にあるべき姿としてVISION2030を策定しております。

 2030年に向けて、当社は「プロダクト」「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」これら3つの事業ドメインを通じて、人々の心と身体の健康を実現していきます。

 すべての事業ドメインに共通して、この3つのテーマを掲げています。進化を続けるデジタル技術を活用し、各個人に合わせてパーソナライズされた製品・サービスを、環境に配慮したサステナブルな手法で開発・提供していきます。これら3つのテーマを通じて、各事業ドメインを単独で成長させつつ、それぞれの事業ドメインが交わることで相乗効果を生み出し、価値の最大化を図ります。

(Ⅲ)経営環境

●市場環境

2023年は、コロナの影響もほぼ終息し、多くのランニング大会やスポーツイベントは通常開催となりました。それによりスポーツ用品市場は好調に推移しています。コロナ禍から続く先進国での健康意識の高まりや高成長地域でのスポーツ市場の拡大、ランニング大会の増加などもあり、引き続き市場の拡大が予想されます。

 また、気軽に楽しめるスポーツの需要も高まり、パデルやピックルボールなど競技レベルに関係なく誰もが楽しめるスポーツの普及が期待されます。

 スポーツを取り巻く環境としては、あらゆる場面でデジタルとリアルを結び付けようとする様々な取り組みが社会全体で進んでおり、今後もその傾向はますます加速していくほか、脱炭素社会に向けた地球規模での取組みや企業活動における責任については今後より一層求められていくと考えています。

●競合他社の状況

 スポーツイベントの開催状況がほぼコロナ前の様相に回復し、コロナ禍で高まった健康志向が継続するなど、スポーツ業界にとっての追い風もありながら、為替の変動や輸送費の高騰などの問題にスポーツメーカー各社は対応を迫られており、粗利益率や営業利益率に影響が生じているケースもあります。

 コロナ禍で急速に拡大したEコマース市場においては、各社ともオンラインとオフラインを連携させたオムニチャネル化を推進し、顧客体験価値の最大化をはかっており、引き続き各社ともにデジタル分野や顧客体験強化への投資に注力していくことが予想されます。

 サステナビリティという観点では、あらゆる企業活動において環境に配慮することが求められており、スポーツメーカー各社もCO2排出量やサステナブルな素材調達などに関する具体的な目標を設定し、様々な取り組みを通じてその達成を目指しています。

●顧客動向

 生活者の購買動向は、コロナ禍で普及したEコマースがさらに進みデジタルを活用したツールやサービスが拡大しましたが、リアルでの購買や体験に対するニーズも戻ってきており、今後はデジタルとリアルを掛け合わせたサービス需要がますます加速することが予想されます。

 また、自分に合った製品やサービスを求める傾向が高まり、パーソナライズされた情報や顧客体験の提供は急務となっています。

 また、より持続的な社会を実現するための消費に対する価値観の変化やニーズはさらに大きくなることが予測されています。

(Ⅳ)中期経営計画2023について

 中期経営計画2023の財務目標は、昨年の報告の通り一年前倒して達成しました。

2023年は中期経営計画2023の最終年でありましたが、当初計画を大幅に上回る結果となりました。

 最終結果としては、2023年の営業利益は542億円、営業利益率9.5%となりました。

 非財務目標についても当社会員プログラムのOneASICS会員数や女性管理職比率などの目標を達成し、当社はこの3年間で成長軌道に乗り、今後も更なる成長を続ける基盤を作ることができました。

 定性評価としては、2019年から進めてきたカテゴリー経営が定着し、主力のパフォーマンスランニングフットウエアをはじめ、コアパフォーマンススポーツフットウエア、スポーツスタイル、オニツカタイガーなどが目標を大幅に達成することができました。

 地域では、欧州と中華圏が全社利益を牽引したほか、日本では収益が改善、インドや東南アジア各国の高成長地域では市場でのアシックスブランドの浸透が進み、成長を加速させました。

 また、戦略目標の一つであった「デジタルを軸にした経営への転換」では、レース登録会社を買収し顧客接点を拡大したほか、OneASICS会員が2019年比4.7倍の945万人へと増加、EC売上高も2019年比3.8倍と伸長しました。特に、2023年にはオーストラリアのシドニーマラソンでレースエントリーから完走後に至るまでのランナーの活動に沿った新たな顧客体験を提供するなど、ランニングエコシステムのモデルケースとして、成果をあげました。

 もう一つの戦略目標である「事業活動を通したサステナブルな社会の実現」では、2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた新たな取組みとして、温室効果ガス排出量を最も低く抑えたスニーカー「GEL-LYTE III CM 1.95」を9月に発売しました。今後も機能性と環境配慮の両立を実現するイノベーションを通じて、世界の人々の心身の健康とスポーツができる環境を守ることに貢献していきます。

 重点戦略であるパフォーマンスランニングでは、2023年には当社を代表する高機能モデル「GEL-NIMBUS 25」「GEL-KAYANO 30」を発売し、市場で高い評価を得ました。これらは当社独自の設計思想「アシックス・デザイン・フィロソフィー」に沿って身体と心の両方にとって優れた構造設計を目指しており、こういった取り組み姿勢や製品開発力が改めて市場から評価されていると捉えています。また、Cプロジェクト(※)の効果もあり、パフォーマンスランニングフットウエアNo.1ブランドに向けたイメージの定着も進んでいます。

 中期経営計画2023で築いた基盤を元に、中期経営計画2026では、VISION2030の実現の達成に向けさらに成長を加速させていきます。

(※) 「頂上」の頭文字を取った、トップアスリートと連携した商品開発を行うCEO直轄プロジェクト

(Ⅴ)中期経営計画2026策定

1.中期経営計画2026の位置づけ

2023年11月28日に中期経営計画2026を策定しました。中期経営計画2023で成長軌道に乗った勢いをそのままに、中期経営計画2026では「グローバル×デジタル」を推進し、継続的な成長を目指します。

2.数値計画

 業界No.1の収益性の実現を目指し、グローバルでの売上成長、販管費コントロールを強化することで、営業利益率12%前後、営業利益800億円以上を計画しています。売上高年平均成長率は7~10%を見込んでいます。

3.方針と重点戦略

 中期経営計画2026の方針は、「Global Integrated Enterpriseへの変革」です。

Global Integrated Enterpriseとは、本社と地域事業会社の連携強化により、グループ一体でより有機的なカテゴリー経営体制を構築することです。具体的には、地域CEOを社長COO直下に配置するほか、主要地域のCEOが重要会議への参加やグローバル経営に関わることで本社と地域間の連携をさらに強化していきます。

 また、地域販売会社を地域事業会社に変更し、商品販売および担当地域以外の収益拡大にも責任を負う体制にするほか、人財、ITプラットフォーム、データのグローバル化によりグローバルでダイナミックな経営を実現します。

 重点戦略は「グローバル成長」「ブランド体験価値向上」「オペレーショナルエクセレンス」の3つです。

1点目のグローバル成長では、各カテゴリー、地域が更なる連携を図り、それぞれの成長を加速させます。カテゴリーでは収益基盤であるパフォーマンスランニングフットウエアのさらなる成長に加え、次の収益の柱として、オニツカタイガー、スポーツスタイル、コアパフォーマンススポーツフットウエアの成長を拡大させます。

 地域については、既存の収益基盤である地域は営業利益の持続的な成長、インドや東南アジアの各国など高成長を見込む地域では、売上と営業利益率の向上を見込み、成長を加速させます。

2点目のブランド体験価値向上については、当社独自の会員プログラムOneASICSを通じてお客様との直接的な接点を増やし、繋がりを深め付加価値の高いプロダクト、サービスを提供していきます。これらの取組みを「OneASICS経営」とし、全社的に推進することで、会員の増加、プログラムの価値向上、パーソナライズされたマーケティングコミュニケーションや製品サービスの向上に向けたデータの活用を実現します。

 具体的には、OneASICS会員をリテール、ECだけではなく、施設、OneASICS債、その他サービスで拡大し、イベント参加、リワードなどを活用してプログラム全体の価値を向上させるほか、データ分析をしっかりと行い、お客様一人ひとりに応じたマーケティング、製品、サービスの向上に取り組みます。

3つ目のオペレーショナルエクセレンスについては、既存のグローバルシステムを活用して、サプライチェーンの改革を行います。需要と供給、在庫の計画精度の向上やサプライチェーン全体の高度化、効率化を図ることで収益性向上につなげます。

4.経営指標

 中期経営計画2026では、以下の財務、非財務指標を設定しています。

Global Integrated Enterpriseへの変革を実現し、これらの指標を達成していくことで、さらなる収益拡大を図るとともにVISION2030の実現に向け取り組んでいきます。

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