アクリート 【東証グロース:4395】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2022年8月に発表した中期経営計画(2023/12~2025/12)において、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、日本国内及び海外においてSMS市場のリーディングカンパニーとしてメッセージングサービス事業を中心に事業展開しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に、社会課題解決への取り組みを推進していく事を表明しております。
加えて、中長期的には「日本のアクリートからアジアのアクリートに」を掲げ、今後、市場拡大が想定されているアジア市場のセキュリティ、コミュニケーション分野において、日本での本人認証や業務連絡によるSMS配信サービス事業で培った知見や経験を活かし、事業展開していくことを当社グループの成長・企業価値創出のキーとするという考えのもと、アジアという広大なマーケットでの事業拡大を推進していく方針を打ち出しております。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループの事業は、国内市場にて事業活動を行う当社及び国内子会社、海外市場にて事業活動を行う海外子会社がそれぞれ各市場に適した経営戦略を立案し、事業活動を展開しております。
そのため、当社グループの報告セグメントは、各社の所在地を基礎とした地域別から構成された、「国内メッセージングサービス事業」及び「海外メッセージングサービス事業」の2区分となっております。
①国内メッセージングサービス事業
国内メッセージングサービス事業は、SMS配信サービスとメール配信サービスに区分されますので、それぞれのサービスに分けて説明いたします。
a.SMS配信サービス
当社グループの主たる事業である国内メッセージングサービス事業のうちSMS配信サービスの市場環境は、2028年のA2P-SMS市場において配信数は95億680万通と予想され(「ミックITリポート2024年1月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2023年度から2028年度までの年平均成長率は26.4%増で、引き続き成長を続けると予想されておりますが、競合他社参入による価格競争のため配信単価の下落傾向が続いており、売上高及び営業利益については苦しい状況となっており、速やかに価格競争に巻き込まれない対策を講じることが当社グループの課題であると認識しております。また、海外アグリゲーター向けについても、当連結会計年度より、キャリア系大手企業など競合他社の市場への参入の影響が顕著となっており、市場環境は変わらず厳しい状況が続いており、当連結会計年度においては営業面でその影響を大きく受ける結果となりました。
そのようなSMS配信サービス市場の拡大が予測される中、当社グループは、SMSマーケットのパイオニアとして永年の経験に裏打ちされたSMSに関するノウハウと、高い技術力を持つ自社エンジニアの開発したSMS配信プラットフォーム「SMSコネクト」を主力サービスとして、国内企業向けの直接販売及び販社・代理店販売とグローバルIT企業等海外企業向けの海外SMSアグリゲーター経由での配信に大別し、安定したSMS配信サービスを提供することで、事業を拡大してまいりました。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しなどにより、自治体等による連絡手段としての利用がひと段落したことで、前連結会計年度に比べて減少しましたが、引き続き国内SMS市場の配信数は増加傾向が続いており、今後も「連絡・通知」の利用用途での広がりが予想されております。一方で、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへキャリア系大手企業などの競合他社参入などによる配信数の減少、価格競争のため販売単価の下落が続いております。
そのような事業環境の中、利用用途を「認証」と「連絡・通知」に分け、「認証」については当社のSMS認証技術とPindrop Security,Inc.の声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより、これまでにないセキュリティレベルの多要素認証サービスを提供すること、また、「連絡・通知」については、引き続き配信数が拡大を続ける市場に対して、ナッジAIと組み合わせたコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により価格競争に巻き込まれない当社独自の差別化を進めることでSMS市場のリーディングカンパニーとして引き続き事業拡大および収益性の向上に取り組んでまいりました。
また、新たな事業展開として、SMSに関連、派生する事業への展開や、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでまいりました。
b.メール配信サービス
当社は子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。当連結会計年度においては、安全安心な地域づくり、教育エコシステムへの貢献などを目的とした「SDGs安心メールくまもと」を配信開始するなどのCSR活動を通じて、また、国内各地の展示会等に出展・協賛することにより新規顧客開拓、サービスの浸透に積極的に取り組んでまいりました。
②海外メッセージングサービス事業
海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(VietGuys J.S.C.(以下、VGS社))にて構成されております。VGS社が事業を展開しているベトナムでは、新型コロナウイルス感染症流行の影響からの経済活動が正常化しておりますが、当連結会計年度においては、世界的なインフレや需要減速による輸出減により経済成長率は鈍化したものの、渡航制限の解除などによる観光関連産業をはじめとしたサービス業や製造業を中心に回復の兆しが見え始めております。
ベトナムを含めた東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。そのような状況の下、VGS社はCDP(カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)の略称で、利用企業が保有する顧客データを収集・統合するための顧客データ基盤)サービスを通して顧客のマーケティング活動を支援することで、メッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、より収益性の高いサービスへのシフトを通じて売上拡大と収益率向上に取り組んでまいりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、以下の事項について今後の事業展開における重要な課題として認識し、取り組んでおります。
① 国内SMS配信サービスの利用用途拡大
当社はこれまで社会変化とともに現れる前例のない情報社会の課題や変革に対して、常に解決案を提示し、サービス利用者を増やすことによって業績を伸ばしてきました。今後においても、日本国内においてもDX化や、それに伴う個人情報の取扱いなど、激変していくであろうデジタル社会において、起こり得る前例のない情報社会の課題や変革に対して解決策を提供していくことが当社の成長ドライバーになり得ると認識しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に、SMSをはじめとしたメッセージ手段を用いた社会課題解決への取り組みを推進していく事で利用用途の拡大を推進してまいります。
② 販社・代理店との連携強化
SMS配信サービスの活用により、顧客満足度を向上させることができる商圏を有する業界特化型の販社・代理店との連携を一層強化することにより、SMS配信サービスの営業体制を強化し、市場拡大とシェア拡大を図ることが重要な成長戦略であると認識しております。
③ 新サービス開発や新事業領域への進出
当社のコア・バリューである「本人認証(セキュリティ)・連絡伝達(コミュニケーション)」を中心とし、各業界の課題に合わせたソリューションサービスを展開することが成長ドライバーとなり得ることを認識しており、当社グループとして、当社が現在提供している国内網を利用したSMS配信サービス、子会社である株式会社Xoxzoが提供している国際網を主としたSMS配信サービス、同じく子会社である株式会社テクノミックスが提供しているメール配信サービスなどのメッセージングサービスのラインナップを増やしてまいりました。
SMS市場においては競合他社の参入が続いていることで、価格競争による販売単価の下落が進んでおり、価格競争に巻き込まれない対策を講じることが課題であると認識しております。具体的には、SMS配信サービス以外の事業分野との連携が重要であると考えており、当社のSMS認証技術と声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより多要素認証サービスを提供することや、ナッジ理論に基づいたAI関連技術と組み合わせることでコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により差別化を進めることなど、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容の軸で、新たな基盤づくりを目指してまいります。
また、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった新たな事業機会を創出していくことも重要な成長戦略であると認識しております。
④ 海外市場への展開
当社グループでは、日本市場で蓄積した事業ノウハウを活用して海外市場での展開を図り、また、逆に日本より発展したマーケットからノウハウを吸収することで、当社グループの事業の一層の発展に貢献するものと考えております。
当社子会社であり、ベトナムにおいて主にSMS配信サービスを展開しているVietGuys J.S.C. を拠点として、アジア圏を中心にさらなる展開を検討しておりますが、東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であるため、今後は日本で構築したソリューションを活かし、各国のニーズにあったサービス開発や事業提携により市場の拡大を目指してまいります。
⑤ 人員体制の強化
セールス部門については、新規顧客獲得や新サービスの開発・推進などセールスマーケティング体制の強化や、既存顧客や新規顧客予備軍に対するサポート体制の構築・強化、システム部門では、新サービスの開発や新事業領域への進出のための技術開発力の強化、事業開発部門では、事業拡大のためのM&Aや事業提携、新事業領域へ進出するための研究開発、経営管理部門では、企業規模の拡大の基礎となる経営管理体制とコーポレート・ガバナンスの強化など、各部門での課題を解決・対応するための人材の確保や育成が必要だと認識しております。
また、当社グループは、子会社4社を抱えており、グループシナジーの創出や子会社管理体制の強化など、子会社経営を任せられる人材の確保や育成についても今後の当社グループの持続的な成長において重要な課題であると認識しております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
成長性と収益性及び企業価値の向上が経営上の重点課題と認識しており、成長性につきましては売上高対前年比率、収益性につきましては売上高経常利益率等の経営指標を重視しております。
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