アイフル 【東証プライム:8515】「その他金融業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「誠実な企業活動を通じて、社会より支持を得る」を経営理念として、お客様の健全な消費活動や事業活動のサポートを通じて経済社会に貢献することを使命とし、IT企業への変革を推進し、「環境変化に応じた組織・制度の変革とデジタル技術を活用した金融グループとしての成長」を目指しています。
2021年4月に理念体系を再構築し、「VISION(実現したい社会の姿)/MISSION(VISIONを達成するために担うべき使命・役割)/VALUE(発揮すべき価値・持つべき価値観)」を設計しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の向上を目指し、安全性の指標となる自己資本比率の向上を図りつつ、収益性及び効率性の観点から、総資産経常利益率(ROA)及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標としております。
なお、当社グループは過去に税務上の赤字を計上していたことで税額並びに法人税等調整額が安定していないため、より実態がわかるよう、実効税率を30%とした「親会社株主に帰属する当期純利益」をベースに自己資本利益率(ROE)を算出した実質自己資本利益率(実質ROE)を経営指標として示しております。
(3) 資本効率
当社グループは、資本効率の向上を図るうえで実質自己資本利益率(実質ROE)を重要な指標とし、中期経営計画において10.0%超を掲げております。積極的な成長投資による営業収益の拡大とコスト構造改革による費用の低下によって利益水準の向上を図り、資本効率の向上を目指してまいります。
(4) 経営環境
(無担保ローン市場)
無担保ローン市場全体の規模は、消費活動の落ち込みを要因とした資金需要の低下などの影響を受けて縮小しておりましたが、行動制限の解除後は回復基調が続き、2023年12月時点で前年比4.2%増の9.5兆円となっております。このうち、金融機関は前年比2.5%増の5.3兆円、消費者金融専業とクレジットカード会社の合計は前年比6.5%増の4.1兆円となっております。
当社グループにおける無担保ローン残高は、前期末比11.5%増の6,141億円、アイフル単体では前期末比11.9%増の5,485億円となりました。
(事業者ローン市場)
中小事業者向けの事業者ローン市場におきましても、経済活動の再開にあわせて資金需要が徐々に回復しております。一方で、コロナ禍での実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化したことなどを背景に、企業倒産件数が増加しており、先行きは不透明な状況となっております。
当社グループの事業者ローン残高は、前期末比23.6%増の891億円となりました。このうち、AGビジネスサポートが前期末比23.6%増の749億円、アイフル単体では前期末比21.9%増の125億円となっております。
(クレジットカード市場)
クレジットカード市場におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の業種において利用が大幅に減少するなどの影響がありましたが、個人消費の回復に加えキャッシュレス決済の拡大、コロナ禍の新しい生活環境に応じたカード利用が定着していることなどから、2023年における取扱高は前年比13.7%増の91兆円となっており、今後も市場の拡大が見込まれます。
当社グループでクレジットカード事業を中心に営むライフカードにおける取扱高は、前期比4.0%増の7,415億円となりました。
(5) 中長期的な会社の経営戦略
今後の見通しについては、経済の緩やかな回復基調に併せ、新規成約件数は堅調に推移し、営業貸付金残高の拡大が続くと見込んでおりますが、一方で、金利上昇や為替相場の変動、物価上昇などの影響には注視が必要な状況が続くとみております。
また、異業種からの新規参入やDX化の加速等、当社グループを取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、変化に対して迅速に対応することが求められております。このような環境のもと、当社グループにおきましては、10年間の長期ビジョンとして「IT企業への変革 ~100年続く企業を目指す~」を掲げ、2025年3月期を初年度とする3年間の中期経営計画を策定いたしました。
① 長期VISION
② 中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
長期ビジョンの実現のため、当社グループは2024年5月10日に、2027年3月期を最終連結会計期間とする中期経営計画を公表しております。中期経営計画テーマの概要は以下のとおりであります。
ア.中期経営計画テーマ及び基本方針
「Try Harder ~あらたな成長ステージに向けて~」を中期経営計画のテーマとして、ローン事業や信用保証事業、個別信用購入あっせん事業といった主力事業の残高成長やコスト構造改革によるグループ全体の利益水準の向上に努めてまいります。また、あらたな成長ステージに向けて、顧客基盤を拡大し新しいビジネスモデルを獲得するため、主力事業の利益を成長率の高い事業やМ&Aに投資し、企業価値の向上を実現してまいります。
イ.残高及び利益計画(連結)
ウ.経営指標(連結)
(成長戦略)
・当該計画期間中に主力事業と位置付けた業績堅調な4事業の利益水準を引き上げていく。
・主力事業から生み出した利益を成長投資へ配分し、新たな利益の創出と資本効率の向上を目指す。
(主力事業の計画及び施策)
(基本方針)
(ア)M&Aを推進し、トップラインのポートフォリオに変化をつける
今後3年間で最大600億円の投資を行いM&Aを推進し、新規事業での利益の創出及び資本効率の向上を目指します。
(イ)人員構成の見直しや社内エンジニアの活用などによるコスト構造改革に取り組む
センター部門の生産性の向上、社内エンジニアによる内製化の促進、広告宣伝費の効率化、無人店舗の閉鎖等によりコスト構造改革を行い、営業収益費用率の向上を目指します。
(資本政策及び株主還元)
(ア)自己資本比率に対する考え方
当社グループは、現状を残高成長ステージととらえており、期待損失に関しては通常事業、非期待損失に関しては自己資本でカバーすることと整理し、自己資本比率は15%以上を維持することを目指します。
(イ)資本政策に関する基本方針
成長投資を優先としつつ、株主還元の向上を基本方針とします。成長投資には計画期間中に最大600億円の成長投資を行い、M&Aの推進による新規事業等での利益の創出及び資本効率の向上を目指します。また、株主還元については成長投資を基本としつつ、株主還元を向上させ、計画最終年には総還元性向で20%程度を目標としております。
(6) 優先的に対処すべき課題
「(1)会社の経営の基本方針」及び「(5)中長期的な会社の経営戦略」に記載の経営方針、並びに経営戦略を実行するうえで、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
(利息返還請求)
2006年の最高裁判決を契機とした利息返還請求件数は、すでに最高裁判所の判決から15年以上が経過し、返還請求の権利を持つ多くの者が消滅時効を迎えていること等から、2011年2月のピーク時から20分の1以下までに減少しております。一部の弁護士事務所や司法書士事務所による宣伝活動等、利息返還請求については外部環境の変化を受けやすく、一定の留意は必要なものの、今後も着実な減少が続くと見込んでおります。
(事業ポートフォリオの組み替え)
当社グループは、経営の安全性を重視し、金融事業の多角化と事業ポートフォリオの分散を進めております。現状のローン事業の成長を維持しつつ、その他事業をさらに拡大させるとともに、積極的なM&Aによる新規事業領域の創出により事業ポートフォリオの組み替えを図り、安全性を高めてまいります。
(財務基盤の安定化)
当社グループは、金融事業を主たる事業としており、事業拡大に必要な資金は外部から調達しております。日本銀行の金融緩和政策の変更による金利の上昇影響などを踏まえつつ、安全性の観点及び強固な調達基盤構築のため、金融機関からの間接調達と社債等の直接調達の双方を行うことで資金調達の多様化を図っております。
(コスト構造の改革)
当社グループは、中期経営計画の基本方針に基づき、センター部門の生産性の向上、社内エンジニアによる内製化の促進、広告宣伝費の効率化、無人店舗の閉鎖等によりコスト構造改革を行い、営業収益費用率の改善を図り、市場環境の変化への素早い適合を図ってまいります。
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