ひろぎんホールディングス 【東証プライム:7337】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、2020年10月1日に、株式会社広島銀行(以下、「広島銀行」という。)の単独株式移転により設立されました。
当社グループは、パーパス、経営理念及びブランドスローガンを以下のとおりとし、グループ一体経営及びグループ内連携を更に強化するとともに、グループ各社の特長・強みを活かすことで、グループシナジーの最大化を図り、「地域社会および地域のお客さまへの更なる貢献」と「当社グループの持続的成長および企業価値の向上」の実現を図ってまいります。
〔パーパス〕
幅広いサービスを通じて、地域社会と共に、「未来を、ひろげる。」
〔経営理念〕
〈経営ビジョン〉
お客さまに寄り添い、信頼される<地域総合サービスグループ>として、地域社会の豊かな未来の創造に貢献します
〈行動規範〉
ひろぎんホールディングスは、5つの行動規範に基づいて、地域社会と共に共通価値を創造し、持続可能な社会の実現に努めます
1.地域社会と共に歩み、その発展に積極的に貢献します
2.お客さまの視点に立って考動し、豊かな人生と事業の成長に貢献します
3.企業価値の持続的な向上に努めます
4.誰もが健康で明るく働きがいのある企業グループをつくります
5.高いレベルのコンプライアンスを実践します
〔ブランドスローガン〕
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2024年4月から「中期計画2024」(2024~2028年度)をスタートさせております。「中期計画2024」では、以下の基本的な考え方に基づき、広島県を中心とした地元4県(岡山県・山口県・愛媛県)マーケットにおいて、地域社会・お客さまのあらゆる課題の解決に徹底的に取組み、地域の発展に積極的にコミットすることで、グループの持続的成長を図ってまいります。
〔基本的な考え方〕
・「成長投資」「健全性」「株主還元」をバランスさせ、企業価値を更に向上
既存業務のクオリティ向上(業務軸の深化)に加え、取引先・地域のニーズに対応すべく、ストラクチャーの見直し・新事業への積極的な投資(業務軸の拡大)等、新たなリスクテイクを行う中、地域活性化を通じて当社グループの「地力」をつける
(3) 目標とする経営指標
「中期計画2024」では、計画最終年度である2028年度において達成すべき経営目標として、次の指標を掲げております。
①地域活性化指標
| 2028年度目標 |
|
| 当社グループの取組み |
広島県の人口社会増減 | 減少幅縮小 | ・スタートアップ・ベンチャー支援 ・人材紹介 ・街づくり・地域開発への関与 ・観光業への投融資 ・環境ファイナンス実行 | ||
広島県の観光消費額 | 継続的な増加 | |||
広島県の温室効果ガス排出量 | 継続的な削減 |
②経営指標
| 2028年度目標 |
連結ROE | 7%以上 |
連結自己資本比率 | 11%程度 |
連結BPS | 2,000円以上 |
(4) 経営環境
2023年度のわが国経済は、主要国の金融引締めに伴う世界経済の減速や中国経済の低迷などを背景に輸出や生産が伸び悩んだものの、企業業績の改善を背景に設備投資が増加したほか、個人消費に持ち直しの動きが広がるなど、コロナ禍からの経済・社会活動の正常化の中で、全体として緩やかな回復傾向を辿りました。
この間、物価上昇が続き、賃上げに向けた動きが広がる中で、日本銀行は約8年振りにマイナス金利政策を解除するなど、わが国の金融政策は大きな転換期を迎えました。
当地方の経済は、輸出や生産の一部に足踏み感が見られたものの、主力の自動車産業が上向いたほか、半導体関連産業の回復が鮮明化しました。また、設備投資が堅調に、個人消費が底堅く推移したほか、G7広島サミット開催以降、インバウンドを中心に観光客が大きく増加するなど、緩やかな回復が続きました。
(5) 対処すべき課題
世界経済は、ウクライナや中東情勢に加え、米中対立等の地政学リスクが高まる中、先行き不透明な状況が継続しております。また、主要先進国において金融引締め策は継続しておりますが、今後、金融緩和に向かう可能性も予想される中、景気後退を回避しつつ、インフレを鎮静化できるか否か注目されています。
日本国内においては、好調な企業業績やNISA(少額投資非課税制度)の拡充を背景とした投資の拡大、海外からの資金流入等が進み、株価は堅調に推移しております。また、物価上昇を反映した賃上げの実現等により、個人消費の増加が期待されており、長年の課題であるデフレ脱却が見通せる状況です。そうした中、2024年3月には、日本銀行のマイナス金利政策解除を受けて、「金利のある世界」へ移行する等、国内経済や金融機関を取り巻く環境は大きな転換期を迎えております。
当社グループの主要な営業基盤である地元4県(広島県・岡山県・山口県・愛媛県)は、少子高齢化に伴う地域の経済規模縮小等の構造的な問題を抱えており、特に、広島県においては、若年層をはじめとした人口の転出超過が3年連続で全国ワーストとなるなど、その傾向が強く現れております。また、脱炭素・循環型社会への移行やデジタルシフトの加速等、当社グループを取り巻く事業環境は急速に変化しております。
こうした環境変化を踏まえ、2024年4月、〈地域総合サービスグループ〉として、地域社会における当社グループの存在意義を明確に示すとともに、当社グループ・従事者の回帰すべき原点として、パーパス『幅広いサービスを通じて、地域社会と共に、「未来を、ひろげる。」』を制定しました。このパーパスは、地域経済の縮小が懸念される中、地域の成長なくして、当社グループの成長もない、つまり、当社グループが当事者として地域経済の維持・拡大に努めていかなければならないとの考えに基づき、策定したものです。
また、パーパスや経営理念の実現に向けた具体的な戦略として、「中期計画2024」(計画期間2024~2028年度)を策定しました。この中期計画では、「地域活性化」を主眼におき、当社グループが経営基盤を置く地域の「10年後の目指す姿」を踏まえる中、10年後に当社グループが「どのように在りたいか」を明確にしたうえで、10年後の目指す姿からバックキャスティングし、前半5年間で何をするのかを示しています。
「中期計画2024」では、当社グループが地域活性化に当事者として取り組むことを示すべく、8つの「地域のマテリアリティ」(地域の優先取組課題)を設定するとともに、特に注力すべき事項については、広島県が公表する指標に連動した「地域活性化指標」を定めました。また、当社グループにおける、既存業務のクオリティ向上(業務軸の深化)に加え、ストラクチャーの見直し・新事業への積極的な投資(業務軸の拡大)・人的資本投資等、新たな各種戦略を展開していく方針です。これらの取組みを通じて当社グループとして「地力」をつけ、「成長投資」「健全性」「株主還元」をバランスさせる中、企業価値の向上を図ってまいります。
具体的には、「経営指標」として、連結ROE、連結自己資本比率、連結BPS(1株当たりの純資産)を定めました。まず、収益性の指標である連結ROEについては、将来的に当社株式に係る資本コストを上回る水準を目指す中、2028年度においては、7%以上を確保してまいります。また、政策保有株式の縮減※1等による資本効率の改善に加え、重点分野への積極的な成長投資による収益力向上を図るとともに、株主還元とのバランスの取れた経営を進めることにより、2028年度の連結BPS2,000円以上を確保してまいります。株主還元に関しましては、配当性向40%程度をベースとし、「連結自己資本比率11%程度」を目安とする中、業績動向や市場環境等を総合的に考慮したうえで、機動的な自己株式取得を実施してまいります。
「中期計画2024」では、地域・お客さまの成長・発展に向けた「価値創造戦略」と、価値創造戦略の実現に資する当社グループの「経営基盤強化戦略」を展開してまいります。また、各戦略を実現するためのドライバーとして、3つの「X」(トランスフォーメーション:変革)である「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」、「AX(アライアンス・トランスフォーメーション)」に積極的に取り組んでまいります。
中期計画の達成に向け、2024年度において、当社グループは、特に、以下の取組みに注力してまいります。
①価値創造に向けた取組み
当社グループでは、「お客さま本位の業務運営」を基本とし、お客さま一人ひとりの悩みやニーズに合ったきめ細やかなサービスを提供し、信頼に応えることで、「活力ある地域の実現」、「法人・個人のお客さまの成長・発展」、「当社グループの成長・発展」の好循環の実現を目指しております。
具体的には、今後の国内金利上昇を踏まえた戦略的な信用リスクテイクによる資金仲介機能の更なる発揮に加え、足元のインフレや人手不足等を踏まえて金融に留まらない総合的なソリューションの提供に努めてまいります。また、お客さまの資産形成に資するコンサルティング営業に注力するとともに、ひろぎんアプリや〈ひろぎん〉ビジネスポータルを軸としたデジタル完結型ビジネスの構築により、顧客軸の拡大を進めてまいります。
グループ収益を支えるコアビジネスの一つである有価証券投資については、中長期の観点から安定的かつ継続的に高い収益性を確保できる有価証券ポートフォリオの構築に向け、リスク・リターンを考慮したリスクテイクを行ってまいります。
②経営基盤強化に向けた取組み
経営基盤としての「人財」は、組織の成長・発展には必要不可欠です。地域社会・お客さまの課題解決を進めていくために、専門性とマネジメント能力を持ち合わせた「ゼネラリスト」に加え、ソリューションを生み出す「スペシャリスト」が育ち続ける組織とするべく、各種研修の実施やリスキリング支援強化を進めるとともに、外部トレーニーへの積極的な派遣を行う等、人的資本投資を一層強化してまいります。
また、DXを中心とした積極的な成長投資に加え、生産性の高い組織の構築に向けたデジタル技術・ITの活用による業務プロセスの見直しを進めるとともに、MEJAR基幹系システム※2への移行(2031年1月稼働予定)に向けた厳格なプロジェクト管理を進めてまいります。
③各種トランスフォーメーションへの取組み
SXでは、主に、カーボンニュートラル及びDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)への取組みを進めてまいります。カーボンニュートラルへの取組みにおいては、当社グループのカーボンニュートラルを進めていくとともに、行政・地域中核企業と連携する中、地域・お客さまのカーボンニュートラルを支援していきます。また、DE&Iについては、多様な人財がその能力、専門性を遺憾なく発揮し、高いモチベーションとエンゲージメントを持ち、いきいきと働き続けることができる組織を目指すとともに、当社グループの取組みを活かしたお客さまへの支援を展開してまいります。
DXでは、DXを前提とした業務・施策運営を進めることに加え、データ及びデジタル技術等を活用した既存業務・プロセスの変革を進めるとともに、DX人財の育成により新たな価値を提供し続けていく組織への変革を進めてまいります。
AXでは、グループ各社が、価値創造の高度化、経営基盤の強化に向けて、必要に応じて他社との資本提携・業務提携を検討してまいります。また、スタートアップ企業、異業種や他金融機関とのアライアンスについても積極的に取り組んでまいります。
こうした当社グループの持続的な企業価値向上への取組みを通じて、連結PBR1倍以上を目指すとともに、金融は勿論、非金融分野を含めたあらゆるニーズにお応えできる〈地域総合サービスグループ〉として、ステークホルダーの未来をひろげていきたいと考えております。
(※1)2025年3月末までに、政策保有株式(みなし保有株式含む)の時価残高について、連結純資産対比20%未満までの縮減を計画。
(※2)「MEJAR」とは
「Most Efficient Joint Advanced Regional banking-system(最も効率的な先進的地方銀行共同システム)」の略。2022年11月、クラウド化を志向した次世代基幹系システムの構築に向け、株式会社横浜銀行、株式会社北陸銀行、株式会社北海道銀行、株式会社七十七銀行、株式会社東日本銀行及び株式会社エヌ・ティ・ティ・データとの間で2010年1月から稼働を開始している共同利用システム(MEJAR)に参加し、6行によるシステム共同利用に向けた詳細検討を行うことで基本合意を実施。
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