ちゅうぎんフィナンシャルグループ 【東証プライム:5832】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ちゅうぎんグループサステナビリティ基本方針
ちゅうぎんグループは、ミッション(グループ経営理念)、ビジョン(経営ビジョン)、バリュー(ちゅうぎんバリュー)、コードオブコンダクト(企業行動規範・行動指針)の実践を、サステナビリティへの取組みの基本方針とします。
ちゅうぎんグループは、さまざまなステークホルダーとの対話にもとづき、環境や社会の課題に長期的視点で向き合い、企業活動を通じて、「地域社会の発展への貢献」と「企業価値の向上」の永続的な好循環を創り出します。
また、グループ役職員一人ひとりが、これらの取組みの意義を理解し、自律的に行動することで、未来世代にとって安心・安全、そして豊かな地域づくりへ貢献します。
当社グループでは、気候変動への対応を重要課題と捉え、地域のリーディングバンクとして気候変動問題に対して先導的に取組みを行い、地域・お客さまの持続的な成長を支援するため、2021年5月に中国銀行として、2022年10月にちゅうぎんフィナンシャルグループとしてTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
(2)ガバナンス
当社グループでは、経営理念や経営ビジョンのもと、「地域経済・社会の活性化」「少子高齢化社会への対応」「DXの推進」「多様な人財の活躍推進」「環境経営の促進」「ガバナンスの高度化」の6つの重点課題を定めています。「環境経営の促進」では、脱炭素や気候変動を特に重要性の高い課題と認識し、これまでの気候変動に関する取組みをより一層推進するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の充実を図っています。
(監督体制)
当社グループのサステナビリティ経営への取組強化を目的として、「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ課題の特定や見直しをはじめとして、気候変動や生物多様性などの「環境問題」やダイバーシティや労働環境、人権などの「社会問題」に関する施策・方針、取組状況などについて審議・議論を行っています。
気候変動に関する重要事項等については、サステナビリティ委員会及びグループ経営会議での審議・議論を経て、取締役会へ付議・報告を行っています(年1回以上)。取締役会は、気候変動関連の議案(目標設定や取組みの進捗状況等)について監督の役割を担っているとともに、取締役会による審議結果は、経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制としています。
(3)戦略
①気候変動に関する事項
(経営戦略)
社会課題・環境課題を経営上のサステナビリティ課題として認識し、「地域社会の発展への貢献」と「企業価値の向上」の永続的な好循環を創り出すことを目指し、2022年4月に「ちゅうぎんグループサステナビリティ基本方針」を制定しました。中でも、気候変動は当社グループ及びステークホルダーにおける重要課題であり、経営理念や経営ビジョンにもとづきサステナビリティ経営の戦略の一つとして取組みを強化していきます。
(リスクと機会)
気候変動に関する経営戦略策定やリスク管理強化には、気候変動関連のリスクと機会を評価し、お取引先ならびに当社グループへの影響を把握することが重要な視点と考えます。
気候変動対応をビジネス機会として捉え、中長期的な目線でお取引先や地域のお客さまの課題やニーズを理解し、気候変動対応や脱炭素社会への移行の支援を行うことで、投融資をはじめとしたソリューションの提供などのビジネス機会の創出・拡大に取組んでいます。
(シナリオ分析)
気候変動リスクが当社グループの財務に及ぼす影響を把握すること、分析結果を今後の気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向け、お取引先との対話(エンゲージメント)を強化することを目的として、「移行リスク」「物理的リスク」についてシナリオ分析を行っています。
● 移行リスク
気候変動リスクと中国銀行のエクスポージャーの2つの観点から分析を行うセクターを選定し、IEA(国際エネルギー機関)のシナリオにもとづき、脱炭素社会への移行に伴うお取引先ならびに中国銀行への影響を分析しました。
脱炭素社会への移行に向け、改めてお取引先の事業構造転換を支援することの重要性を認識しました。
● 物理的リスク
中国銀行の主要営業基盤である岡山県などにおいては、「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」などによる大規模な洪水被害を経験しており、2050年までに水災等発生に伴い想定される被害の影響額を分析しました。
物理的リスクに関する分析結果は、2050年までの与信コスト増加額合計が最大60億円となりました。単年度では相応の影響が生じる可能性はありますが、1年あたりでは2億円程度となり、影響は限定的であると評価しています。
(炭素関連資産)
2023年3月末の中国銀行の貸出金等に占める炭素関連資産の割合は、「32.9%」となっています。
(※)2021年10月のTCFD提言の改訂を受け、「エネルギー」に加え「運輸」「素材・建築物」「農業・食糧・林業製品」の4セクターを定義。日銀業種分類をベースにお取引先の主たる事業に該当する業種を対象セクターと見做し集計。再生可能エネルギー発電事業者は除く。
②人的資本に関する事項
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。
(人材の育成に関する方針)
当社グループは、「地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する」というグループ経営理念を掲げており、「従業員」も重要なステークホルダーと位置付けています。
人事戦略のコンセプトは「性別や年齢を問わず、個性的でやる気のある従業員が育ち、活躍する」ことです。多様で自由な発想による組織の活性化のため、ダイバーシティ&インクルージョンを更に推し進めるとともに、持株会社化による業務軸の拡大を実現するため、従業員に対して多種多様なキャリアパスを提供し、専門性を持った人財を育成することを目指します。
従業員一人ひとりの自律的な「挑戦」をサポートし、当社グループの従業員として、さらには地域・社会の一員として自己実現できるよう人的資本へ積極的に投資することで、経営戦略を推し進め、グループ経営理念を実現できる人財の育成を進めます。
<~自律的な『挑戦』をサポート~ 公的資格の取得状況> 2023年3月31日現在
公的資格取得者数 | ||||
| 中小企業診断士 | 54人 | 宅地建物取引士 | 299人 |
FP1級 | 228人 | 行政書士 | 20人 | |
証券アナリスト | 63人 | キャリアコンサルタント | 19人 | |
弁護士 | 5人 | 情報セキュリティマネジメント | 103人 | |
公認会計士 | 3人 | ITストラテジスト | 7人 | |
社会保険労務士 | 9人 | プロジェクトマネージャ | 8人 |
お客さまの多様なニーズに臨機応変に対応するためには、様々なジャンルに精通した人財がいることが重要です。当社グループでは、資格取得に対する『勉学奨励制度』や認定資格の資格継続の補助等、従業員のスキルアップ支援にも注力しています。
また、DX分野に関する注目度の高まりを踏まえ、デジタル分野に対する教育アプリケーションとして『Udemy Business』の斡旋も開始し、2年間で約750名の受講者がいる状況です。このように、従来型の金融知識に加え、デジタル分野の育成にも注力していく方針です。
<~自律的な『挑戦』をサポート~ キャリアチャレンジの応募状況>
| 内容 | 2022年度応募者数 | |
キャリアチャレンジ | スキルチャレンジ | 既存業務のレベルアップを目的とした、グループ内トレーニーへの応募制度 | 570人 |
ジョブチャレンジ | 新しい事業領域等、グループ内での育成が難しい分野に対するノウハウの習得を目的とした、グループ外トレーニーへの応募制度 | 21人 | |
本部公募制 | 本部の特定ポスト(業務)に対する異動への応募制度 | 43人 |
従業員に高いモチベーションを持って業務に取組んでもらうためには、従業員が自律的にキャリアを描き、それが実現できる仕組みが重要です。当社グループでは、従業員が自ら手を挙げて、自身が描いたキャリアにチャレンジしていくことを後押しするため、『キャリアチャレンジ制度』を設けています。
(社内環境整備に関する方針)
当社グループでは従業員がより良く働ける環境整備のため、転居を伴う転勤の選択制、フレックスタイム制度、時間単位の年次有給制度等、ワークライフバランスがとれた「働きがいと成長の場」を整備しています。
育児や介護などのライフイベントの際にも、安心して働き続けることができるよう、育児・介護休業制度等の整備を行っており、制度を必要なタイミングで取得できるように研修等を通して、従業員に対して周知を行っています。
その他にも、配偶者の転勤への同行や妊活(不妊治療)の際に利用できる『キャリアデザイン休職制度』を整備しており、両立支援、少子高齢化対策に取り組んでいます。
組織内のコミュニケーション促進策として、 「フラットミーティング(自部署の「ありたい姿」の実現のために、これまでの当たり前を問い直し、仲間と一緒に解決していくための「場」)」の開催や、役員から直接現場従業員へグループ方針などを伝え、意見交換する「場」として「『今』と『これから』を語る会」の開催などに取り組んでいます。
また、従業員の資産形成支援として、持株会社体制移行に合わせた従業員持株会の加入対象者の拡大、選択型の確定拠出年金制度等、ファイナンシャル・ウェルネスの実現に向け取組んでいます。
一人ひとりが輝き、力を発揮するための各種の取組みを継続的に行い、地域社会の発展への貢献、従業員のエンゲージメント向上、企業成長につなげていきます。
<~ワークライフバランスの充実~ 有給休暇、超過勤務の状況> 2022年度
平均年次有給休暇取得日数・取得率 | 12.8日(67.7%) |
平均月間法定外労働時間 | 5時間 |
<~従業員エンゲージメント向上~ 従業員調査結果>
| 2022年度調査 | 2020年度調査 | 対比 |
仕事エンゲージメント指数 | 45.31 | 44.32 | +0.99 |
組織エンゲージメント指数 | 49.25 | 47.60 | +1.65 |
エンゲージメントを『仕事』と『組織』の二軸で定義し、仕事に対するエンゲージメントは『自身の業務に対するやりがい』を、組織に対するエンゲージメントは『今の会社(部室店)に対する帰属意識』を示しております。
(4)リスク管理
当社グループでは、気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが地域経済に重大な影響を及ぼしうるリスクであると認識し、サステナビリティ委員会にて定期的にリスクの識別・評価を行い、管理する体制としています。
また、気候変動に伴うリスクについては、「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」など当社グループが定める各リスクカテゴリーにわたることから、統合的なリスク管理など既存のリスク管理プロセスへの反映に取り組んでいます。
2021年4月に「責任ある投融資に向けた取組方針」を定め、環境や社会に対し負の影響を与える可能性がある投融資については慎重に判断し、その影響を低減・回避するよう努めるものとしており、加えて特定の業種・セクター(兵器製造、石炭火力発電所の新設、違法伐採や人権侵害の恐れのあるパーム油農園開発・森林伐採事業)に対する投融資は十分に留意した対応を行っています。
(5)指標と目標
①気候変動に関する事項
(CO2排出量)
Scope1、2の算出に加え、今年度よりScope3のCO2排出量の算出を開始しました。実績は下記のとおりです。
今後もScope3の算出対象範囲の拡大や排出量数値の精緻化に努めてまいります。
計測項目 | 2022年度(t-CO2) | |
Scope1 | 直接的エネルギー消費(ガス、ガソリン、軽油など) | 998 |
Scope2 | 間接的エネルギー消費(電気、熱などの使用) | 10,351 |
Scope3 | その他の間接的なエネルギー消費の合計(Scope1、2以外) | 9,592,098 |
カテゴリー6 | 出張 | 344 |
カテゴリー7 | 雇用者の通勤 | 978 |
カテゴリー15 | 投融資 | 9,590,776 |
合計 | 9,603,447 |
※Scope3の算出方法、排出係数等は、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.4(環境省・経済産業省 2022年3月)」 及び「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer.3.2(環境省・経済産業省 2022年3月)」より使用。
(Scope3カテゴリー15について)
Scope3のうち、特にカテゴリー15の投融資によるCO2排出量は、金融機関において重要なCO2排出量削減の対象であり、 今年度より、PCAFスタンダード※の手法に基づき、投融資先の排出量を試算しました。試算結果については、下記のとおりです(基準日:2023年3月末、対象:中国銀行の事業性融資)。
今後、試算結果をお取引き先の脱炭素化の促進に活用していくことを検討します。
・業種:TCFD提言での炭素関連資産(4セクター13業種)とその他
・炭素強度:投融資先の売上高1百万円当たりのCO2排出量
業種別の炭素強度=Σ(融資先毎の炭素強度)/融資先数
・排出量: 業種別の排出量=Σ{(炭素強度×売上高)×投融資シェア}
(CO2排出量の削減目標)
カーボンニュートラルの達成を目指し、当社グループのエネルギー使用に伴うCO2排出量に関する新たな削減目標を設定しました。引き続き使用エネルギー量の削減を行うとともに、今後はクリーンエネルギーへの切替えなどによる対応を進めていくことで目標達成に向けて意欲的に取組んでいきます。
当社グループのScope1、2のCO2排出量推移は次のグラフのとおりです。
(サステナブルファイナンス目標)
当社グループは、地域金融機関として地域のお客さまの気候変動に対する理解を深めていただき、脱炭素社会に向けた取組みを支援するため、新たに「サステナブルファイナンス目標」を設定しました。
中期経営計画の最終年度である2026年度までの中間目標として1兆円を掲げ、社会関連や環境関連の課題解決に向けた投融資等を通じてお客さまの取組みを積極的に推進しています。
なお、対象のサステナブルファイナンス目標は、次の分野のファイナンスに加え、地方創生やSDGs/ESGの取組支援を含む2020年度から2030年度までの実行額としています。
<社会分野> | <環境分野> |
医療・介護・保育、教育 ほか | 太陽光、風力、バイオマス、EV ほか |
②人的資本に関する事項
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する指標及び目標は次のとおりであります。
(人的資本投資)
人的資本投資を「企業価値の向上に資する、従業員への金銭的・時間的な投資」と定義し、事業戦略に沿った人財開発とエンゲージメント向上に関する投資を中心に、人的資本投資を大幅に拡大していきます。
(女性活躍推進)
人的資本の効果的活用、多様化するお客さまニーズを満たすイノベーション創出の観点から女性の活躍を推進します。
(キャリア採用・専門コース)
当社グループでは、事業軸の拡大に合わせて多様なスキルやキャリアを有する人財を積極的に採用することも、ダイバーシティ&インクルージョンの促進に繋がると考えています。そのため、近年は新しい事業領域を中心に、金融業界未経験者についても採用を行っています。
また、このような人財を、年齢・性別等を問わず柔軟に受け入れるため、2021年10月より『専門コース制度』を策定し、受け入れ態勢を整えています。
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