すららネット 【東証グロース:3998】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
1.経営方針
当社グループは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を得られる機会を提供しています。貧困や障がいに苦しむ子どもたち、低学力の生徒、世界中の教育格差という社会課題を、最先端技術で解決する。教育格差を根絶することが当社グループの使命であると考えています。
当社ICT教材は、従来の進学塾・予備校、人による個別指導塾や映像配信型の教材とは異なり、無学年式で、学習内容のさかのぼり、先取りを学年、学校種を超えて行える(高校生が小学校の復習に取り組むなど)特長を活かし、偏差値30~60と低学力層を含めた幅広いレンジの生徒が利用でき、一人ひとりの学力向上のみならず学習塾・学校全体の学力底上げを目指すコンテンツです。また、幅広い機能を有する学習管理機能により、教員の働き方改革への貢献も可能となります。当社は今後も、教材の開発・提供、教育現場でのEdTech活用のためのコンサルテーションならびに、学習者の学習履歴や解答情報をはじめとするビッグデータの活用や、AIのさらなる活用など、新しい教材やサービスの開発、提供を加速し、当社独自のポジションを確立していきます。
また、当社は、ソーシャル事業と収益事業の両立に向けて、「不登校」、「発達障がい」、「低学力」、「貧困」の4つの社会課題に対し、どのような効果をもたらしているかを測定・可視化を実施し、インパクトマネジメントレポートとして発信しています。
インパクトマネジメントの実施は、サステナビリティの機会を注視し、管理するためのガバナンス活動として位置付けております。
2.経営環境
わが国の教育業界においては、従来からの少子化の流れの中で、企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しています。当社グループが属するEdTech市場は、当社グループが開発したICT教材等を通じた社会課題の解決と、事業の成長の同時実現に向けて活動を行っております。
新学習指導要領が2020年度(小学校)、2021年度(中学校)、2022年度(高等学校)に実施され、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実が図られます。新学習指導要領ではSociety 5.0の実現を目指し、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善が行われています。情報活用能力が、言語能力、問題発見・解決能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるなど、今後の学習活動において、積極的にICTを活用することが想定されています。同時に文部科学省からは、「学校における働き方改革に関する緊急対策」が発表され、ICTを活用することにより教員の働き方改革を実現することも期待されています。
経済産業省では2020年度よりEdTech導入実証事業が進められ、1人1台端末や、家庭でも繋がる通信環境の整備等、GIGAスクール構想におけるハード・ソフト・指導体制を一体とした整備について、2024年度全学年の1人1台端末整備が完了予定と予測されています。(出典:文部科学省「高校学校における学習者用コンピューターの整備状況について(令和4年度見込み)」)
文部科学省では、令和5年6月に閣議決定された「新たな教育復興基本計画(計画期間2023年~2027年)」では、今後の教育政策に関する基本的な方針が発表されました。誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の促進に向け、個別最適・協働的学びの一体的充実や多様な教育ニーズへの対応が求められています。また、教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も加速し、教育データの分析や利活用の推進も含め、教育のICT化に向けた取り組みは一層加速し、多様化した学びに向けての活動がさらに広がっています。
3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが認識している対処すべき課題は、次のとおりであります。
① コンテンツの拡充
eラーニング事業では、「国語・算数/数学・英語・理科・社会」の主要5科目を網羅するAI×アダプティブなeラーニングコンテンツを提供しております。2023年12月期は、宇宙というテーマを通じた総合的な探究学習教材「すららSatellyzer」と、国内外の外国にルーツを持つ人たちが就労・留学・生活に必要なレベルを習得できる日本語学習教材「すらら にほんご」をリリースしました。今後も多様化する教育ニーズに対応すべく、自社開発以外にも教育関連企業等と協働して、新しい技術を活用し、新しい分野でのコンテンツの制作に邁進してまいります。
② 開発体制の構築
eラーニングコンテンツの技術革新のスピードは、非常に早く、新たなサービスや競合他社が続々と現れることが予想されます。当社が競合企業とのサービスの差別化、競争優位性の確立を図るためには、迅速な開発体制の構築が不可欠となります。当社グループはこれらを実現するために、社内開発スタッフの技術向上、グループ会社間との連携、外部からの優秀な人材の採用、最先端の技術動向の調査、ビッグデータを活かした商品開発等に継続的に取り組んでまいります。
③ 情報管理体制の強化
当社グループでは、セキュリティの確保や情報管理体制の継続的な強化を行っていくことが重要であると考えております。2021年にISMSを取得し、情報管理にかかる施策には万全の注意を払っていますが、今後も情報管理体制の強化・整備を行ってまいります。
④ 優秀な人材の確保と育成
当社グループの持続的な成長のためには、当社グループの経営理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用し、開発体制、営業体制、管理体制を整備していくことが重要であると捉えており、グループ全体では前期末より10名増員いたしました。当社eラーニング事業では、特に大きく変革する教育業界において営業部門の人材が、学校や塾などの顧客の課題解決に向けての啓蒙や提案、継続的な支援を行うコンサルティング能力の向上が必要不可欠であり、そのための人材育成に注力してまいります。また、受託開発事業及びアプリ開発事業のファンタムスティック社では、専門性やスキルを有する人材の確保と育成が重要な課題であり、引き続き積極的な採用活動を行います。
⑤ システムの強化
当社グループはインターネット上でサービスを提供しており、システムの安定稼働の確保は必要不可欠です。あらゆる有事において通信障害が発生した場合、当社グループ事業に重大な影響を及ぼす可能性があるため、外部業者による脆弱性の確認等を継続的に行い、社員への教育・研修の実施等を継続して努めてまいります。
⑥ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社グループのさらなる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの一層の強化が重要な課題であると認識しております。当社は、監査等委員会及び内部監査部門、任意の諮問機関である指名委員会・報酬委員会、並びに会計監査人との連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の強化に取り組んでいく方針です。
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