しまむら 【東証プライム:8227】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念により、信頼性の高い誠実な企業運営を続けることを基本方針としています。
「商業を通じ消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本とする。
常に最先端の商業、流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持する。
世界的視野と人間尊重の経営を基本とし、普遍的な信用、信頼性をもつ誠実な企業運営を続ける。」
2)経営環境
わが国の今後の経済状況は、インバウンド需要の増加やサービス消費の回復、物価上昇の鈍化と賃上げによる実質賃金の上昇などにより、景気の回復が緩やかに進むと思われます。一方、世界経済では、ウクライナ戦争の長期化によるヨーロッパ経済の停滞、金融引き締めの長期化によるアメリカ経済の悪化、地政学リスクの高まりなど、日本経済にも大きな影響を与える懸念が高まっています。
小売業を取り巻く環境は、商品面では、社会経済活動の正常化が進み、外出や行楽需要の高まりからトレンドファッションへのニーズが増加しています。また、サプライチェーンにおける環境や人権問題への消費者意識の高まりから、サステナブルファッションの需要が高まっています。価格面では、原材料価格の高騰や円安による商品原価の上昇が続き、販売価格の見直しが進んでいます。販売面では、実店舗とECを融合した販売手法の活用が拡大し、今後も更にオムニチャネル化が加速するものと思われます。
3)目標とする経営指標
当社は、小売業としての適切な営業利益率を10%として意識し、連結営業利益率についても10%が適切と認識して
おります。このためにグループ全体を統合した物流システム、情報システムを基本に調達・運営・組織の高度化を
図り、新しい企業構造への仕組みの構築を進めております。
4)中長期的な会社の経営戦略
当社は、経営理念に基づいた企業運営を行うため、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることを、長期に渡る経営ミッションとして掲げております。また、本業を通じてESG課題にも取り組み、全てのステークホルダーに対して価値を創造することで、持続可能な社会の実現、企業価値の向上を目指していきます。
①長期経営計画2030
当社グループでは、長期的かつ持続的な成長を実現するため、2030年2月期に向けた成長戦略として「長期経営計画2030」を策定しています。長期ビジョンのテーマを「日々の暮らしにワクワクを」とし、既存店業績の伸長と積極的な出店により商圏シェアを拡大し、地域のお客様に対して“ワクワク”する商品とサービスを提供することで、日々の暮らしに楽しさをお届けします。「長期経営計画2030」の骨子は以下のとおりです。
a.成長戦略では、事業ポートフォリオの再構築、既存店売上の伸長、新規出店強化と既存店改装の推進、EC事業の
拡大による売上向上と事業規模の拡大を図り、新たな海外展開も含めた新規事業の研究も進めます。
b.基礎と基盤の強化では、労働力不足への対応や人事労務制度の見直しを進め、教育体系も改善します。また、デ
ジタル化の推進により業務効率を改善し、物流網の再構築も進めます。
c.資本政策では、店舗・商品センターや人的資本への成長投資を継続し、長期的・安定的な株主還元と適正な規模
の内部留保を継続します。
d.ESG活動では、プラスチックごみの削減や環境に配慮したサステナブル商品の開発を推進し、サプライチェーン
の環境・人権配慮も強化します。また、社員のダイバーシティ推進とガバナンス体制の更なる強化も図ります。
これらの戦略のもと、2030年2月期に国内売上高8,000億円以上、営業利益率10%、ROE8.0%程度の実現を目指
します。
②中期経営計画2027
当社グループでは、長期ビジョンの実現に向けて、2025年2月期から2027年2月期までの3ヵ年を対象とした新中期経営計画を策定しました。2027年2月期に当社グループで、売上高7,190億円、営業利益高660億円、営業利益率9.2%を目標とします。基本方針は「ネクスト・チャレンジ(成長への挑戦)」とし、社員全員の創意工夫で様々な課題に挑戦し、当社グループの強みを更に強固なものとします。また、既存店業績の伸長と積極的な出店により事業規模を拡大し、効率的な運営で収益性を高めます。
5)会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年度のグループ統一テーマは“ネクスト・チャレンジ 1st『当たり前を改める』”とし、全ての「当たり前」という考え方を改めていきます。商品の作り方や売場の見せ方はもちろん、組織や人材育成、システムや用地開発など全ての部署で新たなチャレンジに取り組んでいきます。
①重点課題
a.商品力の強化
ヒット商品の開発、自社ブランドと企画商品の進化によるブランド力向上を図ります。また、ラインロビングの
推進により新規顧客の獲得に繋げ、データ分析の高度化による商品開発力を強化します。
b.販売力の強化
販促手法の多様化とデジタル化を推進し、地域特性に応じた商品・売場・販促を最適化します。また、接客技術
の向上と買い易い売場作りにより販売力を強化します。
c.基礎と基盤の強化
DXによる店舗オペレーションを再構築、および本社業務の合理化による労働生産性の向上を図ります。店舗開発
では、都市部への出店強化と既存店のリロケーションやファッションモール形式での出店を拡大し、収益性の高
い新店開設を進めます。商品調達では、生産国見直しと貿易部活用によるサプライチェーンの再構築を進めま
す。人材育成では、働きやすく、働きがいのある「いい会社」を実現するための人材戦略を推進します。ESG課
題への取組みでは、本業を通じた持続可能なESG活動を推進します。また、EC事業と思夢樂事業の拡大を図ると
ともに、新規海外事業の研究に取組みます。
②主力のしまむら事業
20代から60代の女性とその家族をターゲットとするしまむら事業では、お客様が気軽に楽しく選んで頂ける品揃えと売場を進化させます。商品力の強化では、PB(Private Brand、以下PB)とJB(Joint Development Brand、以下JB)は高価格帯商品を拡充します。PBでは、商品開発手法を見直し、より大きな売上となるヒット商品の開発を目指します。JBでは、ブランドの見直しや新規ブランドの立上げを行います。
販売力の強化では、陳列・演出・販売技術を更に向上させ、PB・JB売場の高度化を実現し、良い商品をより良く見える売場を作ります。顧客管理システムを活用したデジタル販促を強化し、既存店の売上向上に繋げます。
2024年度は、14店舗の開店と9店舗の閉店を予定し、年度末には1,420店舗とする予定です。
③アベイル事業
10代から40代の男女をターゲットとするアベイル事業では、トレンドからベーシックまで幅広く旬な品揃えを提供
するため、JBを中心に商品の企画・デザイン・品質をレベルアップします。JBでは、トレンド提案の強化により認
知度向上に繋げます。また、ラインロビングによる取扱商品の拡大により、新規顧客の獲得に繋げます。
2024年度は、5店舗の開店と3店舗の閉店を予定し、年度末には314店舗とする予定です。
④バースデイ事業
「ベビー・子供用品の総合専門店」として国内№1を目指すため、専門店として出産・育児用品の品揃えを最適化
し、ブランド力の向上に繋げ、消費者ニーズに合わせた商品開発の推進と認知度向上を図ります。また、デジタル
販促の強化や、EC取扱い商品の拡充により、オンラインストアから店舗への送客の更なる拡大を図ります。
2024年度は、16店舗の開店と3店舗の閉店を予定し、年度末には337店舗とする予定です。
⑤シャンブル事業
10代から60代の女性をターゲットとした「雑貨&ファッション」の専門店であるシャンブルは、アウター衣料のJBを新規に立ち上げるとともに、既存JBを強化することで新規顧客の獲得に繋げます。また、ブランドコスメの展開を開始し、ギフト好適品や新規キャラクター商品の開拓を進めます。
2024年度は、5店舗の開店を予定し、年度末には123店舗とする予定です。
⑥ディバロ事業
「足元を含めた着こなし提案の店」として、20代から50代の女性およびその子供と男性をターゲットとした、「靴&ファッション」の事業として展開し、2023年度は新モデル店舗の2号店を出店しました。2024年度はアウター・服飾・靴のトータルコーディネートを意識した品揃えを推進し、オリジナル商品の拡大を進めます。
2024年度は、開閉店の予定はなく、年度末には16店舗とする予定です。
⑦EC事業
2020年度に実店舗との相互送客を主目的とした新たな販売チャネルとして、しまむら事業のオンラインストアを開設し、その後、バースデイ、アベイル、シャンブル事業へ取扱いを拡大しました。2023年度は各事業の品揃えを改善し、受注生産の拡大による売上の安定化を図りました。2024年度は、品揃え、予約販売、ECサプライヤー納品の更なる拡大を図ります。また、ECセンターのシステム改善やささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)の内製化による効率化を進めます。
⑧思夢樂事業
台湾全域で店舗を展開する思夢樂は、20代から60代の女性とその家族をターゲットとした総合衣料の専門店とし
て、日常生活で必要なソフトグッズがお客様の欲しい時に必ずある店舗の実現に向けて、事業の再構築を進めてい
ます。2024年度は、思夢樂オリジナル商品の拡大とラインロビングの強化を行います。
販促では、デジタル販促の高度化により客数の拡大に繋げます。また、店舗レイアウトの再構築、陳列什器の開発
による陳列方法の確立を進めます。
2024年度は、3店舗の開店と1店舗の閉店を予定し、年度末には44店舗とする予定です。
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