くら寿司 【東証プライム:2695】「小売業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、添加物を含まない、素材そのものの味わいを求め、「食」が安心・安全だった戦前のバランスの取れた理想的で健康的な食生活を取り戻すという理念のもと、創業以来全食材から『四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)』を完全に排除した商品を開発・提供してまいりました。
当社は、食の本来あるべき姿をお客様に提供していくことで、社会に貢献できるものと考えております。さらには、日本の食文化の代表である寿司を通して、世界の人々の幸せに貢献できる企業を目指してまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へ移行したことに伴い、個人消費やインバウンド需要に回復の動きが見られました。一方で、米国・欧州におきましては急激なインフレに対応するため、急ピッチの利上げ政策がとられ、日米の金利差拡大による円安が進行し、日本国内におきましても輸入品目を中心に物価の上昇が進みました。経済活動の正常化に伴い、人手不足に起因する賃金上昇が続くなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
(3)目標とする経営指標
当社は、2020年1月に2030年度を最終年度とする「長期構想」を公表しております。計画の基本方針は、第二の創業期として日本国内、海外を両輪で拡大していくことで、全世界での売上高3,600億円以上、店舗数1,100店舗以上を目標値として設定しております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
競合他社との差別化を図り、「無添(むてん)くら寿司」ブランド認知を推し進め、回転すし業界の中で確固たる地位を築いてまいります。出店形態は直営店のみとし、高いレベルでの品質の維持・きめ細かなサービス等を提供できる体制の構築を図っております。また、より一層人材の育成を行い、さらなる店舗運営システムの向上を図るとともに、費用対効果を追求し、経営基盤の強化、業績の向上に努めてまいります。さらに、世界の人々に日本の食文化のすばらしさを伝え、幸せに貢献するため、蓄積してきたノウハウと、ゆるぎない企業理念をもって海外展開を加速してまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の外食産業は、エネルギー価格や原材料価格の上昇によるインフレの進行により、消費者の節約志向が強まり、外食産業には厳しい経営環境が続くものと予想されます。
当社グループは、「抗菌寿司カバー」を始めとする安心・安全に関するさまざまな取り組みを行いながら、回転レーンを通じて、回転寿司本来の手軽さと楽しさを追求してまいります。また、全ての食材から化学調味料等「四大添加物」の除去等、安全で高品質な商品の提供を徹底することや「ビッくらポン!」に楽しい食体験などにより、競合との一層の差別化を進めてまいります。
① 効率的な店舗運営
“安心・おいしい・安価”そして“楽しい”食事を提供し続けるため、コストパフォーマンスの向上に取り組み、AIの導入などさらにIT化を推進するとともに、アミューズメント機能を充実させ、顧客満足度を高めてまいります。ますます多様化するお客様のニーズを敏感に捉えた商品・サービスの提供を迅速かつ確実にするDXの取り組みも強化してまいります。
② 出店戦略
「無添(むてん)くら寿司」ブランドを広く認知していただけるよう出店地域の拡大を図りつつ、店舗配置の最適化、出店条件の厳格化及び一層のコスト削減に取り組みます。
③ 顧客満足度の向上
入店から退店までお客様が従業員と接することなく飲食できるセルフ会計やセルフレジを備えた「スマートくら寿司」を全店に導入し、様々な感染症への対策を強化するとともにお客様の利便性を向上させています。引き続き、サービスの改善による顧客満足度の向上を図ることにより、来店客数の増加、既存店売上高の維持・向上に努めてまいります。
④ 人材の確保・育成
競争が激化する外食産業におきましては人材の確保・育成が重要な課題と認識しております。「貝塚事務所」におきましては、“教育日本一企業”を目指し、社長が講師を務める“社長塾”をはじめ、パート・アルバイト従業員を対象にした研修会を実施しております。また、各分野に精通したプロフェッショナル人材の積極的な中途採用も行っております。さらに海外展開に対応したカリキュラムも充実させ、台湾子会社の社員研修を貝塚事務所で行うなど、グローバルな人材育成にも注力してまいります。
⑤ 商品戦略
日本固有の食文化である寿司をベースに食の可能性を追求し、高付加価値商品の開発と既存商品の価値拡大に努めます。日本の漁業の持続性を念頭に多くの漁協様と連携し、海に囲まれた日本の天然魚を消費者に届け、商品競争力を向上させることによって、シェアの拡大及び収益の向上を図ってまいります。
⑥ 漁業創生の取り組み
多くの魚介類を取り扱い、飲食インフラの一端を担う企業として、水産資源の保全と漁業の持続的な発展に貢献すべく、水産事業者との協力や養殖事業への参入を通じて安定的・持続的な魚介類の調達を目指します。また、子供たち向け体験型出張授業の更なる取り組み拡大を通じて、日本の「魚食文化」を守り、子や孫の代までおいしいお寿司が食べられる持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
⑦ 海外戦略
当社グループは現在、米国、台湾及び上海において現地法人を設立し、それぞれのエリアを中心に事業を展開しており、また、米国及び台湾においてはそれぞれ現地株式市場に上場しております。「海外での出店を促進し、日本の食文化を世界に広げる」との考えのもと、新たな成長のため、日本で築き上げたフォーマットを海外に移植し、積極的に海外展開を行ってまいります。
今後も、上記課題を克服し、高付加価値を生み出す企業体質を構築していくことで、全てのステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。
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