かっこ 【東証グロース:4166】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「未来のゲームチェンジャーの『まずやってみよう』をカタチに」という経営ビジョンを掲げ、当社の有するAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術とノウハウをもとに、アルゴリズム及びソフトウエアを開発・提供することで、企業の課題解決やチャレンジを支援することを目指しております。
特に、EC分野における不正検知サービスを中核サービスとして位置づけ、決済コンサルティングサービス及びデータサイエンスサービスとのシナジー効果を発揮することで持続的な成長を図り、セキュリティ・ペイメント・データサイエンスの技術で新しい価値を作り上げる会社として、企業価値の最大化を図ってまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための指標
当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、当社の主力製品である「O-PLUX」のストック収益の金額を重要指標としております。
(3) 経営環境及び中長期的な経営戦略
消費者向け電子商取引(BtoC-EC)市場は、経済産業省による調査「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2022年は前年比9.91%増の22.7兆円となり、依然として高い成長率を維持しております。また、EC化率(全ての商取引市場規模に対する電子商取引市場規模の割合)が前年比0.35ポイント増の9.13%となるなど、BtoC-EC市場は依然として着実な成長を続けております。
一方、クレジットカード番号等の情報を盗まれ不正に使われる「番号盗用被害」が急増している近年の状況を受け、改正割賦販売法において、クレジットカード番号等の不正な利用を防止するために必要な措置を講じることが義務化され、また、その実務上の指針となる、「クレジットカード・セキュリティガイドライン5.0版(クレジット取引セキュリティ協議会)」においては、EC加盟店におけるEMV3-Dセキュアの導入に加え、カード情報保護対策及び不正利用対策が求められるなど、不正対策に対する社会的要請はますます高まっております。
こうした経営環境下において、当社は、以下の事項を中長期的な経営戦略として、事業推進してまいります。
① EC不正検知領域の拡大
EC市場の継続的成長及びオンライン決済における不正被害の急増、並びに法規制等の不正対策に対する社会的要請の高まりといった事業環境にあって、当社の主力製品である「O-PLUX」をはじめとした不正検知サービスのニーズはますます高まるものと考えており、今後の更なる成長に向けて以下施策を実行してまいります。
(a) 導入障壁の解消
ECパッケージ・ショッピングカートベンダー(注1)とのシステム連携をより一層拡大することで導入企業のシステム開発負荷を低減するとともに、月額4,000円から利用可能な不正注文検知サービス「不正チェッカー」等、小規模又は不正被害潜在層に向けたラインアップを提供すること等により、EC事業者の導入障壁を解消し、更なる新規利用企業の獲得に努めてまいります。
(b) プロダクトの付加価値向上
不正アクセス検知サービス「O-MOTION」の端末特定技術に関する特許取得等技術開発に取り組むとともに、外部データベースとの連携拡大、SMS(注2)認証機能の追加、上限額なしでクレジットカードの不正利用被害を補償する「O-PLUX Premium Plus(出荷判断代行サービス)」の提供開始等新機能及びサービスの開発・提供にも積極的に取り組んでまいりました。引き続き、当社の有するあらゆる技術・ノウハウを活用し、更なる機能・サービスの拡張を図ることでプロダクトの付加価値向上を推進してまいります。
(c) 販路拡大・市場開拓
決済代行会社(注3)、カード会社等とのアライアンスにより販路拡大を図るとともに、SaaS型BNPLシステムの提供準備を進め、近年拡大を続けるBNPL市場において、決済コンサルティングサービスとのシナジー効果を発揮することで、「O-PLUX」の利用拡大を図ってまいります。
② サイバーセキュリティ領域への拡張
株式会社東京商工リサーチ発表によると、2023年の上場企業とその子会社における個人情報の漏えい・紛失は4,090万8,718人分に及び、また、「ウイルス感染・不正アクセス」起因の事故件数は最多の93件発生し、事故件数、社数ともに2019年以降、5年連続で最多を更新しました。当社は、当社の有するセキュリティ・ペイメント・データサイエンスの技術・ノウハウをもとに、現在展開している不正検知サービスを中心としてサイバーセキュリティ領域に関する技術開発に取り組むとともに、アライアンス・M&Aの活用を視野に入れ、事業領域の拡大に取り組んでまいります。
③ 海外展開
当社が現在日本国内で提供している、不正注文検知サービス「O-PLUX」、不正アクセス検知サービス「O-MOTION」、BNPL構築を中心とした決済コンサルティングサービス、AI・統計学・数理最適化等の技術を活用したデータサイエンスサービス等を東南アジアに向けて提供することで、同地域におけるECの健全な発展及び決済手段の多様化等による利便性の向上、並びに金融分野のDX推進に貢献できるものと考えております。引き続き、東南アジアへの展開に関して実現可能性の検証を具体的に進め、今後も海外市場の開拓に積極的に取り組んでまいります。
④ 新規領域のSaaS型サービスの構築
当社のデータサイエンスサービスは、当社のAI・統計学・数理最適化といったデータサイエンスの技術・ノウハウをもとに、マーケティングや生産効率向上等に資するアルゴリズムを企業に開発・提供しておりますが、当社の「SaaS型アルゴリズム提供事業」を、既に不正検知サービスとして展開しているEC分野のみならず、小売・流通業や製造業をはじめとした様々な分野において展開する足掛かりを作ることを企図しております。今後も、データサイエンスサービスの提供を促進する中で、新たなSaaS型サービスを企画・開発するとともに、アライアンス・M&Aの活用も視野に入れ、事業領域の拡大及び新たな収益機会の獲得に努めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 収益構造の改善
当社は、中核サービスである不正注文検知サービス「O-PLUX」について、特定の大口顧客への依存性が高い状態にあったため、当事業年度に生じた当該顧客との取引終了により経営基盤に影響を受けております。
当社は、従前より「EC不正検知領域の拡大戦略」を通じて多角的な顧客基盤の獲得に向けて取り組んでまいりました。今後は、これに加え、中核サービスである「O-PLUX」以外のサービスについても、収益貢献の早期化を推進し、ビジネスドメインを拡大することで、収益構造を改善し経営基盤の強化に努めてまいります。
② サービス開発投資の促進
当社は、EC市場、セキュリティ市場及びデータサイエンス市場を主たる事業領域としておりますが、近年の技術革新や市場ニーズの変化等により、国内外における競合サービスとの競争が一段と激化してきております。こうした状況の中で、当社は、不正注文検知サービス「O-PLUX」をはじめとする当社サービスについて、機能の拡充及び強化を図るべく積極的にサービス開発投資を推進し、今後の成長性及び競争優位性の維持・向上に努めてまいります。
③ アライアンス・M&Aの推進
当社は、既存事業の拡充、関連技術の獲得及び新規事業領域への進出を図るためには、アライアンス・M&Aの活用が有効であると考えております。当社は、当社とのシナジー効果並びに投資の効果及びリスクを見極めながら、アライアンス・M&Aを推進することによって、既存事業の更なる成長を図るとともに、事業領域の拡大及び新たな収益機会の獲得に努めてまいります。
④ 優秀な人材の確保及び更なる社員の能力向上
当社の業容拡大に伴い、優秀な人材の確保及び更なる社員の能力向上が不可欠であると考えております。当社は、即戦力の人材確保を目的とした中途採用と将来を担う人材の確保及び組織の活性化を目的とした新卒採用を積極的に行い、加えて、更なる社員の能力向上を目的とした人材育成・人材開発を強化することで、持続的な成長を支える組織の構築に取り組んでまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社は、更なる事業拡大及び持続的な成長を遂げるためには、コンプライアンス体制の強化とともに、確固たる内部管理体制の構築を通じた業務の標準化・効率化を図ることが重要であると考えております。当社は、内部統制の環境を適正に整備し、コーポレート・ガバナンスを充実させることによって、内部管理体制の強化を図り、企業価値の最大化に努めてまいります。
(注)1.Short Message Serviceの略。携帯電話やスマートフォンの電話番号を宛て先にして、テキストメッセージを送信するサービスのこと。
2.ECサイトの運営に必要な商品管理、在庫管理、売上管理等の機能が統合的に実装されたシステムを提供する事業者のこと。
3.EC事業者と各決済機関の間に立ち、多様な決済を一括の契約及び管理システムで利用できるサービスを提供する会社のこと。
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