企業兼大株主ニチコン東証プライム:6996】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発に取り組んでいます。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は6,579百万円であり、セグメントごとの内訳は、コンデンサ事業1,950百万円、NECST事業4,629百万円です。

 セグメント区分ごとの研究開発状況は、次のとおりです。

(1)コンデンサ事業

①アルミ電解コンデンサは重点分野向け製品の研究開発に取り組みました。カーボンニュートラルを目指して急速に電動化が進む「自動車・車両関連機器」、高度化するネットワーク社会を支える5G通信基地局、生成AIサーバーといった「情報通信機器」において需要が拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの開発に取り組みました。また情報通信機器や各種インフラ装置に電力を供給するために不可欠な高性能電源、省力化ロボットなどの産業用インバータ、EV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド)において不可欠なOBC(車載充電器)に向けたアルミ電解コンデンサにおいて、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化による商品力強化に取り組みました。

 これら研究成果として、導電性高分子固体アルミ電解コンデンサにおいては、生成AIサーバーで採用が拡大しているチップ形導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサ「PCRシリーズ」をベースに、生成AIサーバーの電力消費増大に伴うリプル電流性能強化(大電流対応)ニーズに対応した、業界最高125℃高許容リプル電流重畳保証チップ形導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサ「PCAシリーズ」を開発、市場投入しました。

 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、xEV(EV、HEV、PHEV、FCEV)のみならずICE(内燃機関)も含めて電動化が急速に進んでいる自動車用途において、特に大電流対応が求められているEPS(電動パワーステアリング)、EWP(電動ウォーターポンプ)、EOP(電動オイルポンプ)といった燃費性能改善効果が高い一方で、アルミ電解コンデンサにとっては過酷なアプリケーションに最適化を図るため、リプル電流性能を従来比で1.3~2.1倍に強化して業界トップレベルの高リプル電流対応品となる、135℃4,000時間保証導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサ「GXCシリーズ」を開発、市場投入しました。

 アルミ電解コンデンサでは、各種電源用途、EV・PHEVのOBC用途などに最適な小形アルミ電解コンデンサとして、従来品と比較して製品高さで最大50%、体積比で最大52.4%の小形化を実現した、105℃5,000時間保証小形長寿命リード線形アルミニウム電解コンデンサ「UTHシリーズ」を市場投入しました。

②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長が評価されて2019年の販売開始以来、累計5,000万個以上を出荷する小形二次電池市場におけるベストセラー製品です。現在、カーボンニュートラルに向け、使い捨て一次電池から自然界のエネルギーを電気に変換する「環境発電」と「二次電池」の組み合わせへの置き換え用途検討が進行していますが、当社はこの用途に向けた評価ボードを開発、太陽光をはじめ様々な環境発電デバイスと「SLBシリーズ」を用いた電源回路を簡易に評価することが可能になりました。

③フィルムコンデンサは、xEVに搭載される走行用モータの駆動インバータに不可欠なDC-LINKコンデンサ用途で需要が拡大しています。高い信頼性とコンパクト化を両立させるニーズに対して、当社は主要材料である金属蒸着フィルムを自社開発する強みを活かして、高耐電圧化、大電流対応を実現し、これまでに多くのxEVに採用された実績があります。また、車種ごとに形状、搭載性を考慮したモジュール設計技術をさらに進化させ、国内外メーカーの多くの車種に採用されています。今後、特にEVにおける充電時間短縮を背景とした800V以上の高電圧化ニーズ、SiC(シリコンカーバイド)などパワー半導体の進化に伴い、125℃を超える高温度化ニーズが見込まれることから、当社はフィルム材料の性能向上や蒸着パターン技術の開発、DC-LINKコンデンサ本体と周辺部品も融合させ高度なモジュール化技術を実現するための製法、設備など、生産技術開発にも注力しています。

④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、社会インフラを支えるために製品安全性を最優先に、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、省エネルギー化を目的としてさらに導入が進むインバータ機器から発生する高調波電流に起因した電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するため高調波継電器を市場投入、高調波障害から電気機器を守るとともに、電力バックアップや電力供給の安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。

(2)NECST事業

 当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。

2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。世界中でガソリン車からEVに大きくシフトが始まっていますが、日本においてもEVや充電インフラ設備の購入や設置費用に対して政府や地方自治体の補助金が増額され、それに伴いV2H、急速充電器の需要が広がってきています。この状況に対応する製品として当社は、新型EVパワー・ステーション(V2H)や大容量の急速充電器の開発、提供を進めています。

2022年4月に東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、プライム上場企業に対し環境に関する情報開示が求められるようになりました。その中にはカーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みや計画の開示も含まれており、企業の投資行動を後押しする国の支援策も多くなってきました。この動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムにV2Hを3台直流リンクで接続したシステムが再生可能エネルギーを効率よく使える装置を開発、それが評価され、令和5年度の新エネルギー大賞を受賞することができました。

 さらに、将来的に期待される水を電気分解して水素を製造するシステムの電源の開発をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として山梨県と共に進めています。水電解システム開発のNEDO事業に6年前から参加し、この電源部分を開発、その成果を500kWワンパックモデルとして製品化しました。今後は規模を拡大して効率よく水素を発生するシステムの開発も進めます。

 医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発、納入し、現地試験の上、引き渡しが完了しました。

 また、事務機器向けスイッチング電源関連では、新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。

(3)産学連携による研究開発

 最近は技術の進歩が早く、最新の技術を取り入れた製品の開発には産学連携を効果的に活用することが重要になってきています。そうした状況の中、当社は、2016年9月に東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を締結し、一定額のファンドを原資として複数のテーマをその道の専門家である教授陣と柔軟に共同研究できる体制を構築しました。この共同研究実施にあたり当社技術者を東京大学生産技術研究所へ派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECST事業の次世代ビジネスに関わるシミュレーションや、家庭用蓄電システムやV2Hの先進デザインにより、製品価値の向上とブランドイメージ確立を行っていきます。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および製品開発に寄与しています。こうした産学連携を継続することで大学の教員と当社社員との交流を通じて知のネットワークが広がりつつあります。

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