サニックス 【東証スタンダード:4651】「サービス業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「次世代へ快適な環境を」を企業理念とし、一般家庭向け環境衛生事業、事業所向け環境衛生事業、産業廃棄物の再資源化を主とする環境資源開発事業、太陽光発電関連事業並びにその他のエネルギー関連事業の各領域において、顧客重視の視点でマーケットを掘り起こしニーズを顕在化させてまいります。「環境とエネルギーのトップ企業へ」を企業ビジョンとし、これらを通して収益性及び資本効率を高め、企業価値の増大に努めてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、企業理念である「次世代へ快適な環境を」のもと、住環境領域、資源循環領域、エネルギー領域の各領域において、これまでの事業経験を活かし新たなイノベーションによって、持続可能な社会づくりに引き続き取り組んでまいります。
なお、当社グループは、2024年5月15日に公表しました「持株会社体制への移行及び商号の変更及び定款の一部変更に関するお知らせ」のとおり、あらゆる経営環境の変化にも迅速に対応し、持続的な成長を実現していくためには、持株会社体制への移行が最適であると考え、2025年4月(予定)に持株会社体制へ移行することとしました。
持株会社はグループ経営機能に特化し、グループ戦略の策定および経営資源の配分の最適化を図るとともに、事業会社は各事業に専念し、事業環境の変化や事業特性に応じた柔軟かつスピード感のある事業展開を行うことにより、当社グループの企業価値向上を目指してまいります。
中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)の計画値修正
当社グループは、資源・エネルギー価格の高騰や円安進行に伴う物価上昇などの影響もあり、先行き不透明な事業環境の中、既存事業の持続可能な成長の実現に向けた土台作りを行う期間として「中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)」を2023年5月15日に公表しました。
しかしながら、2025年3月期以降の苫小牧発電所における売電単価について、エネルギー価格高騰の長期化による電力価格を見込んでおりましたが、想定よりも電力市場価格が下落してきたこともあり苫小牧発電所における売電価格を見直し、売電収入を下方修正しました。
また、エネルギー領域における法人向け太陽光発電事業において、脱炭素社会への取り組みの本格化と電力コストの高騰により太陽光発電の需要・引き合いは増えてきておりますが、受注から施工までの期間が長期化していることから売上計上時期を見直しました。
これらを踏まえ、下表のとおり2025年3月期及び2026年3月期の計画値を下方修正いたします。詳細につきましては、「中期経営計画の数値目標の見直しに関するお知らせ」(2024年5月15日公表)をご参照ください。
<中期経営計画の数値目標>
| 2024年3月期 | 2025年3月期 計画 | 2026年3月期 計画 | |||
計画 | 実績 | (変更前) | (変更後) | (変更前) | (変更後) | |
売上高 | 480億円 | 471億円 | 500億円 | 462億円 | 530億円 | 515億円 |
営業利益 | 32億円 | 37億円 | 32億円 | 17億円 | 30億円 | 28億円 |
EBITDA | 48億円 | 53億円 | 49億円 | 35億円 | 50億円 | 49億円 |
ROE | 35.0% | 36.1% | 24.0% | 11.6% | 16.0% | 17.0% |
ROIC | 14.0% | 14.4% | 12.0% | 6.4% | 10.0% | 10.0% |
自己資本比率 | 22.0% | 24.1% | 27.0% | 25.4% | 30.0% | 29.0% |
(注)1 EBITDA : 営業利益+減価償却費
2 上記の予想につきましては、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
セグメントごとの事業戦略は次のとおりであります。
<住環境領域>
HS事業部門
地域に密着した新規開拓、既存顧客への継続的なフォロー体制をより一層拡充することで、事業基盤を強化し、その上で採用等による人員増や、店舗出店を積極的に行い、顧客件数の増加を図ってまいります。また、これまでの個別訪問営業に加え、法人営業体制を強化拡充し営業の間口を広げるとともに、住宅の断熱性能向上(窓・断熱材等)による省エネルギー化市場の活性化が見込まれることから、住宅環境に関する多様なニーズへの対応を図ってまいります。
ES事業部門
管理会社などの提携先開拓、既提携先への密なフォローによる紹介や、不動産オーナーとの商談の機会を増やし、主力商品である「防錆機器取付施工(商品名:ドールマンショック)」による給排水設備の保全対策、ビル・マンションのメンテナンスの販路を拡大してまいります。また、有害生物の防除、食品を扱う事業者へのHACCP(衛生管理手法)に沿った衛生管理サポート等の衛生管理サービスも推進してまいります。
SE事業部門
戸建住宅向けに、環境にやさしく電気代を削減でき、災害時の電源として活用可能な、太陽光発電システム、蓄電池の普及拡大を図ってまいります。生産性、効率性を高め、モジュール、パワコン等部材のコストダウンを進めてまいります。また、SE事業単体ではなくHS事業と連携することで、「戸建太陽光発電設備の機器導入」から、「戸建住宅のメンテナンス・リフォーム」へ事業の位置づけを変えて推進してまいります。
<エネルギー領域>
PV事業部門
企業・法人向けの太陽光発電システムにおいて、FIT制度から「自家消費」を対象とした営業転換を図ってまいりました。企業のカーボンニュートラル、電気代削減等に寄与できる「自家消費」太陽光発電システムの販路拡大を図るとともに、顧客の太陽光発電所における機器交換、アフターメンテナンスの体制強化を進めてまいります。また、生産性、効率性を高め、部材等のコストダウンを進めてまいります。
新電力事業部門
卸電力取引市場(JEPX)の価格高騰に加え、世界的なエネルギー価格の高騰も重なり、電力小売り事業の採算性の確保が困難であったことから、不採算契約を整理し事業を縮小いたしました。なお、苫小牧発電所の非化石価値電力の付加価値を有効活用した売電を推進することに加え、太陽光発電システム販売における自家消費、PPA等の再生可能エネルギー導入モデルの事業化等のエネルギーマネジメントを見据え、電力の需給管理業務は継続してまいります。
<資源循環領域>
環境資源開発事業部門
廃プラスチックの燃料化については、燃料の品質向上、工場の効率運営を進めてまいりました。引き続き収益性を重視しつつ受入増量を図ることで業績向上を図ってまいります。加えて、廃プラスチックの選別工程で、プラスチック原料に適しているものを分別、協力企業と協働で加工し、プラスチック原料として再利用する「マテリアルリサイクル」への展開を進めてまいります。また、廃棄物の処理事業にとどまらず、排出元、収集運搬業者などを対象に廃棄業務一元管理システムの販売促進により、契約書・管理票(マニフェスト伝票)・自治体への実績報告等の煩雑な業務のサポートに加え、今後はサステナビリティ報告に必要な廃棄物に関するスコープ3の排出量算出ができるようにすることで、継続的な取引につなげてまいります。
廃液処理においては、廃棄物由来の重油代替燃料「再生油Bio」の製造や、廃液処理後に発生する汚泥の再生燃料化を推進することで、カーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、産業廃棄物の削減と再資源化の両方を実現し、循環型社会の実現にも貢献してまいります。
また、当社グループでは、太陽電池パネルのリサイクル処理事業化を目指し、太陽光のFIT買取期間の満了に伴い、2030年代には使用済みの太陽電池パネルが大量に発生する見通しであることから、これまで培ってきた太陽電池パネルの知見と、全国に産業廃棄物の処理ネットワークを有する強みを活かし、太陽電池パネルのリサイクル技術検証を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、生産性の状況やコストとのバランスを最も端的に反映する営業利益率であります。目標とする営業利益率は中長期的に10%を目指してまいります。
(4) 経営環境
環境問題、地球温暖化対策について、2015年9月国連サミットにおけるSDGs採択、2015年12月パリ協定の採択など世界規模で対策していく必要性が「世界の共通認識」となってまいりました。日本においても、2018年環境基本計画や循環型社会形成推進計画など『環境とエネルギー』分野の基本計画の更新がなされ、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて官民の取組みが進み始めてまいりました。世の中の価値観は、当社グループがこれまで取組み、提唱してきた事業領域と相重なっており、当社グループの進むべき方向として、以下の三つの「アタリマエの社会」を創造し、地域社会に貢献することで成長してまいります。
一.『快適な住環境を次世代に繋ぐのがアタリマエの社会』
二.『捨てないがアタリマエの社会』
三.『環境負荷の低いエネルギーがアタリマエの社会』
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。
① ESG・サステナビリティ経営への取り組み
当社グループは、資源循環型社会の実現に向け、環境に係る各事業領域の成長に積極的に取り組むことで、持続可能性の観点から企業価値を継続的に向上させるため、サステナビリティ経営を推進してまいります。
② 持続的な収益の実現
環境とエネルギーのトップ企業に向けて、各事業における安定的な収益基盤の構築を進めるべく、営業力の最適化を図り、かつ強化するとともに、徹底したコスト削減の取り組みを継続することで、持続的な収益拡大を図ってまいります。
③ 人材育成の注力と基盤の強化
当社グループは、事業環境の変化に的確に対応することはもとより、次なる成長に向けて基盤をより一層強化していくことが課題であり、人材育成を重視し、お客様に満足いただけるサービスを提供するために、専門家集団となることを目指してまいります。
④ 職場環境の整備
当社グループ従業員が安全安心にかつ十分に能力を発揮できるよう、職場施設面の整備、及び職場の一体感醸成等人間関係構築のための管理職研修を含めて職場環境を整備してまいります。また、情報システムの刷新を進め生産性・効率性を向上させることで、業務負担の軽減を進めるとともに多様な働き方の実現に取り組んでまいります。
⑤ 太陽光発電関連事業の取り組み
当社グループは、太陽光発電システムを広く普及拡大させていくことで脱炭素社会の実現に貢献してまいります。そのために、住宅向け、事業者向けに広くエネルギー関連事業を積極展開するとともに、次なる事業開発、商品開発に注力してまいります。また、生産性、効率性を高め、モジュール、パワコン等部材のコストダウンを進めてまいります。
⑥ 環境資源事業の取り組み
当社グループは、廃プラスチックを燃料として有効利用した非化石価値の発電事業、製紙工場等のボイラーで使用する石炭代替燃料の製造により脱炭素社会を目指してまいります。また、廃液処理による資源リサイクルとして、廃棄物由来の重油代替燃料「再生油Bio」の製造、汚泥の再生燃料化、堆肥・セメント原料の製造を推進し、資源循環型社会の実現を目指してまいります。
⑦ 財務基盤の安定化
当社グループは、対処すべき課題における施策を実行し、持続的な成長、安定的な収益の拡大を図ることで、キャッシュ・フローの改善を進め、有利子負債の圧縮、財務基盤の安定化に繋げてまいります。
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