企業兼大株主アズワン東証プライム:7476】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針及び経営戦略

 当社グループは、「革新と創造」という経営理念のもとで、「顧客満足度の追求」を徹底することにより業容を拡大し、併せて業務の効率化を推進することによって収益力の強化・企業価値の増大を図ることを経営の基本方針としております。

「顧客満足度の追求」につきましては、より多様化するユーザーニーズにきめ細かく対応するために、魅力ある幅広い品揃え、カタログやインターネット等による様々な情報の提供に加え、商品のクイックデリバリーやサポートサービス等、お客様の利便性向上が重要であると考えております。

<目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略>

中期経営計画「PROJECT ONE」の推進

 当社グループは、2020年度よりスタートした5年間の中期経営計画「PROJECT ONE」を2022年度より残り3年を「PROJECT ONE ver.2.0」としてバージョンアップさせています。この「PROJECT ONE ver.2.0」を基本方針とし、2024年度の達成すべき目標に向け活動していくとともに、その先の将来に向けても成長を継続することができるよう経営基盤の構築に邁進してまいります。

[中期経営計画 -Opportunity of Next Evolution-「PROJECT ONE ver.2.0」(2022年度~2024年度)]

①  経営ビジョン

「アズワンは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域とし、顧客が必要とする商品・サービス・情報を提供することで、社会に貢献する企業を目指します」

②  重点戦略

ⅰ.事業成長の加速化

ⅱ.経営基盤の構築

ⅲ.事業育成

ⅳ.資本の有効活用

ⅴ.企業価値の向上

③  目標とする経営指標

2024年度において、連結売上高1,066億円、連結営業利益率11.7%、ROE(株主資本利益率)11.6%を実現することを目標としております。

(2) 経営環境

 当社を取り巻く環境としては、以下のような変化が見られます。

ユーザーサイドの発注管理の効率化やコンプライアンスの観点から取引の電子化を求めるニーズが高まってきております。また、電子購買に移行するにあたっても、専門的でかつワンストップで購買ができる品揃えの豊富さやスピーディーに納品できる高度な物流機能が重視されております。さらに、研究開発或いは製造プロセスにおいて使用する機器類の品質を担保するニーズが高まっており、点検・校正などのアフターメンテナンスサービスを求められるケースが増えてきております。一方、利用する様々な機器メーカー毎に、個々に点検や校正を依頼する煩雑さから、管理を一括化したいというニーズが生じております。

海外においては、日本の2~3倍の研究開発費を使う米国や中国、或いはそれに追随する欧州などの広大な研究開発市場があります。また、国内ユーザー企業のグローバル化は伸展し、工場進出先の中国から東南アジアへのシフトや、欧米企業とのアライアンスなど多方面への拡大が見られます。一方、パンデミック時のグローバルなサプライチェーンの寸断の経験や経済安全保障等から経済のブロック化への動きがあり、国内回帰の機運も高まっております。

医療業界においては、中長期的に医療費抑制という国を挙げての方向性があります。医師の残業上限規制の適用も始まり、人手不足・偏在という観点からも病院の経営環境は引き続き厳しく、病院数、病床数は減少傾向にある一方、クリニックや介護施設は増加傾向にあります。一方、コロナ禍においては病床・医療器材・医療者の不足から医療崩壊の瀬戸際までの経験を経て、サプライチェーンの信頼性が重要度を増しました。新型コロナウイルス感染症は、2023年5月より感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の位置付けが5類感染症となり、これにより、政府の関与は緩和され、濃厚接触者やコロナ罹患者の隔離等厳密な感染対策が緩和できる一方、診療できる医療機関が拡大しました。政府や自治体の緊急の感染症対策に向けられた需要は減退しましたが、人員や病棟確保のために滞っていた一般診療や手術件数は回復方向にあります。

社会構造の変化として、人口の高齢化に伴い労働力人口は減少に転じております。また、労働の質という面からウェルビーイングを意識しつつ効率的な働き方が推奨されております。こうした変化は、人手不足や賃上げ機運をもたらしており、例えば物流業界では、過剰な配送サービスの見直しやコストアップという形でその影響が表出しております。人財への投資を厚くしつつ更に高い付加価値に結び付ける人的資本経営の実践が今後更に求められるものと思われます。

また、シェアリングエコノミーという言葉に代表される、所有から利用へという流れも、研究プロセスにおいて実験機器の所有にこだわるより、機器の利用或いは委託によりアウトプットのみを求めるという形で当業界においても変化していくことが予想されます。

さらに、Society5.0時代のAI(人工知能)やIoT、ロボットなどの新しいデジタルテクノロジー、社会課題をバイオテクノロジーで解決していこうとするBX(バイオトランスフォーメーション)などが、社会に大きなパラダイムシフトをもたらすものと期待されており、気候変動や労働環境を含めたサステナビリティの観点からも、ますますこの変化を加速させております。

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、「科学」・「医療」を中心とした専門分野を主な事業領域としており、研究の成果や医療の提供が持続可能な社会の創造につながると考えております。そのために、当社のプラットフォームを通じて人・モノ・情報・サービスを効率的に繋ぎ、研究者や医療者が様々な課題を乗り越え、目指す成果により早く到達できるようアシストすることで、社会に貢献してまいります。

ⅰ.事業成長の加速化

品揃えの強化

当社は、研究や医療などの専門的で特殊な機材を必要とする領域において、品揃えの豊富さと物流力を強みにお客様の物品購入の効率化に貢献してまいりました。数年前まで7万点程度であった品揃えは、今では1,000万点を超えるまでに拡大しています。しかしながら、あらゆる領域に関係してくる研究開発では必要なモノやサービスは無限であり、まだまだ品揃えを強化する必要があります。お客様が当社をハブにして、ワンストップで必要なモノやサービスを手にできる環境をさらに強化し、当社の商品データベースを「業界のデータベース」としてご利用いただくべくさらなる品揃えの拡大を図ってまいります。

ECチャネルの強化

 当社ではこの幅広い品揃えを、アナログ的に人を介した全国の販売店チャネルと、デジタルのECチャネルをハイブリッドに融合して提供しています。豊富な情報量・使いやすさ・安心感等で抜きん出た利便性の高さを誘引材料として、販売店チャネルといえども当社ECシステムの活用が進んでおり、ECチャネルとの融合が進んでいます。大企業を中心にご利用いただいている集中購買システム「ocean」はユーザー企業でアナログ的に分散購買されていた間接資材を社内ECで一括購買する仕組みです。期中に54社増加し、現在339社にご利用いただいております。「Wave」は、当社が裏方として販売店様とユーザー様のお取引のEC化を図る購買WEBサイトです。登録ユーザー数は約17,700社と、期中に約3,800社増加しております。

 これらの仕組みは、お客様の資材管理にも応用可能であり、お客様の物品庫から持ち出されたら補充する「富山の薬売り」のようなサービスも展開しています。今後は、こうした仕組みを発展させ、医療機関向けにもECを活用した使い勝手のよい仕組みを展開していきたいと考えています。

 これらに加え自社WEBショップ「AXEL」や「as kitchen」、通販会社との連携を含めたECチャネルを強化し、さらなる売上拡大を追求してまいります。

ⅱ.経営基盤の構築

サプライチェーンマネジメントの強化

当社は、卸売業としてグローバルに約4,200社のサプライヤー様とのお取引があり、当社の品揃えと各種ソリューションを提供する源泉でもあります。当社商品データベース「SHARE―DB」には現在1,000万点超の仕様・画像・取扱説明書・荷姿情報等を収納しており、自社在庫額の11倍にあたるサプライヤー様の在庫情報をバーチャル在庫として活用・開示しています。ロングテールの物品でも当社のデータベースで探し出すことができ、当社在庫は当日出荷、バーチャル在庫の8割は3日以内に出荷されるため、販売店様やお客様に安心してご利用いただいています。今後もお取引先を増やし、幅広く鮮度高い情報を提供していくことで業績の拡大に繫げてまいります。

 物流戦略

2023年度には既存の約7,000坪の大阪物流センターの近隣に約13,000坪の物流センター「阪神DC」を開設し、両センターの一体運用を開始しました。これにより初年度は一時的なコストアップとなりましたが、他社既存設備の利活用策が奏功し、比較的少ない固定費のまま売上高は1,300億円程度まで業容を拡大させることが見込める基盤が整いました。

 また、運送業界の残業上限規制の適用により、国内運送コストの上昇懸念があります。当社では、自社専用でエコ配送も可能な配達便の増便、ミルクラン方式での集荷実施や出荷量と配送距離と運賃を最適に組み合せる自動メーカー直送の実施、共同物流の活用など、よりリーズナブルな配送手段を組み合わせることが可能です。アソートやバラ売りを含めたきめ細かい物流サービスを実施しつつ、確実で効率的な物流により差別化を図ってまいります。

ⅲ.事業育成

海外事業の強化

 中国においては、中文サイト「ASONLINE」の掲載を充実させつつ、オフラインでは日本製のライフサイエンス関連装置の販売拡充や4年ぶりとなる中文カタログ発刊を機に現地開発のPB品の売上拡大を図ります。中国以外の海外への輸出についても、238万点の多言語サイト「AXEL_GLOBAL」の情報拡充が奏功し新規顧客の獲得が進んでいます。併せて、現地で当社商品を在庫販売する現地パートナーの育成、ECプレイヤーとの協業等を図ってまいります。

未来に向けた連続的進化

 既に、機器のレンタルや校正など物販以外のサービスに関わる事業を開始しておりますが、それら事業には大変手ごたえを感じています。特にレンタル事業は、当社が解決すべきこととして掲げる“3つのない(予算がない、時間がない、もったいない)”の解決に有効な手段であると同時に、当社の事業領域を高価格帯の分析機器まで広げていく原動力となっています。今後、レンタル対象機器の拡充やオペレーションの高度化を図ってまいります。

 京都大学iPS細胞研究財団などが入居する大阪市北区の未来医療国際拠点Nakanoshima Qrossに中之島クロスラボを開設します。ラボにおける受託や再生医療商材のアプリケーション開発サービス等を通じて再生医療施設コンサルテーションなどのトータルサービスの発信基地としてまいります。

 また、2023年度には、株式会社カスタムに100%出資し連結に加えたほか、分析装置ベンチャーへの出資により日本・中国及び欧州での総代理店としての権利を取得、株式会社島津理化様と協業により理科教材市場への参入など新しい取り組みを開始しております。

 研究者・医療者の困りごとをワンストップで解決するため、出資を含めた各種提携、仲間づくりにも注力してまいります。

サステナビリティへの対応

 当社は、多様な人財が健康に活躍できる環境を整えるため健康経営体系ASsisT(AS(ONE)_S(olution)_(I ntegrated)S(upport)_T(echnology))を策定し、健康経営優良法人に2年連続認定されています。また、サステナブル調達基本方針を策定し、各サプライヤー様に周知し、人権保護等の啓蒙を目的としたアンケートを毎年実施しています。気候変動に関しても、「自動メーカー直送」等による最適配送を実施し配送の無駄を排除しておりますが、月間削減距離は地球7周となる30万kmを超えるなど、運送逼迫の軽減や脱炭素に繋がる活動を行っています。今後も、持続可能な社会の実現のため、そして当社自身がサステナブルであるために取り組みを強化してまいります。

ⅳ.資本の有効活用

収益性の向上

 当社には微細に細分化された商品マスタ項目や入出荷データがあります。近年は、ECの拡大によりサイトデータやユーザー情報が蓄積されてきました。これらデータに基づく事実を元にしたデータドリブンが重要と考えています。これらを元に、機動的で最適なプライシング、最適ロット調達、最適配送、最適在庫や顧客提案など様々な場面で効率性を追求してまいります。また、収益性の向上に向けて、オリジナル商品の原価改善、付加価値の高い自社サービス事業の拡大等により粗利率の向上を目指してまいります。

 また、DX推進による社内オペレーションの自動化、運営効率の高いeコマースの拡大、物流オペレーションの効率化などにより、間接コストの低減にも努めてまいります。これらにより、高い収益水準を維持しつつ、中長期的な収益性の向上を目指してまいります。

保有資産の効率化

2021年度には遊休不動産の売却を行い、2022年度及び2023年度には発行済株式総数の約3%及び約1%の自己株式の買付を行いましたように、資産・資本の効率性に目を配った運営をしております。また、阪神DCの高額投資回避、バーチャル在庫の活用など、キャッシュコントロールをしながらお客様満足度の追求を推進しております。今後も継続して保有資産の効率化を進め、資産効率の向上を目指してまいります。

ⅴ.企業価値の向上

株式市場と向き合う経営

 当社は高水準の収益力を維持した上で、特別損益を除いた税引後利益の50%を配当とする配当方針を採用しています。今後も、資本コスト・資本効率を意識して資金配分・株主還元を検討し、効率的かつ積極的な成長投資を行うことで、1株当たりの利益、ROE(株主資本利益率)を高め、株主価値の向上に努めてまいります。

 また当社は、ESGの観点では当社に関わった方々がその大切な人に薦めたくなるような働き甲斐のある「いい会社」になることを目指して事業運営を行っております。こうした、ESGに関わる非財務情報もさらに開示を充実させ、ご評価いただけるよう努めてまいります。

「革新と創造」という経営理念のもと、変化をチャンスと捉えて新しいことにチャレンジし、新しい仕組みを作り出すことにより、社会に価値を提供し続ける会社として発展させてまいります。

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