企業QDレーザ東証グロース:6613】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

  文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 人間と物があらゆる情報とつながり始めたこの世界において、高機能汎用技術である半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。当社は「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもとに、世界の人々の生活を安全で豊かなものにし、幸福と平和に貢献する企業を目指すことを経営方針としております。

 経営方針に基づく重点施策として下記の5点を掲げております。

● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化

● 納期遵守による顧客満足度の向上

● 顧客要求を充足する信頼性の確立

● 製品検査レベルでの品質向上

● 従業員の継続的スキル向上

 当社の属する「半導体レーザ」業界の経営環境は、世界的にもニーズが高まり、光通信・インターコネクト、ディスプレイ、バイオセンサ、スマートフォン顔認証、自動運転レーダ、精密加工、プリンタ、照明等、順調に市場は伸長しております。その市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。

① ファブレス製造

 自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。

② 幅広い波長領域のレーザの開発、量産化

532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。

③ 量子ドットレーザ量産技術のシリコンフォトニクス展開

 光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは、高温度動作(200℃以上)、温度安定動作(-40℃から125℃)、極低ノイズ特性(既存光通信デバイスと比較して)によって、シリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの超小型化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組合せてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。

5G時代の到来で世界規模のデータ量増加とそれに伴う消費電力の増加が見込まれ、世界のデータ総量は2018年33ZBが2025年175ZB、消費電力は2016年1,170TWhが2030年42,300TWhと予測されていることが、シリコンフォトニクスが求められる背景です。(IDC「Worldwide Global DataSphere IoT Device and Data Forecast」、国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響」より抜粋)

④ 最終製品展開

「人の可能性を照らせ。」を具現化するため、従来の部品事業にとどまらず、半導体レーザ技術を応用した消費者向け製品事業を展開しております。そのひとつが、網膜投影技術VISIRIUM(ビジリウム)テクノロジーを採用した製品、RETISSA(レティッサ)シリーズであります。この技術は人間の水晶体のピント調節能力やピント位置に依らず、投影の端部まで鮮明な画像を網膜に描画できるという画期的な特徴を有しております。従来より販売しておりました装着型の網膜走査型レーザアイウェアに加え、2022年度は様々な使用シーンに向けた3つの新しいレーザ網膜投影機器を上市しました。そのうちの1つである「MEOCHECK」は、自身の見え方やその変化を手軽に把握する事ができる全く新しいデバイスです。これまでのハード販売に加え、ソフトウエアを含めたサービスビジネスとして市場に訴求いたします。今後も世の中に光の可能性を提案する製品開発を行ってまいります

⑤ 眼の健康維持(ビジョンヘルスケア)領域への展開

 網膜走査型レーザアイウェアのピント合わせ不要という画期的な特徴を眼科医療機器に展開し、ロービジョンの方の生活の質の向上と就学、就業機会を実現する視覚型ロービジョン支援機を開発してまいりました。その成果の一つが2021年3月に販売開始した網膜走査型レーザアイウェア「RETISSA メディカル」であります。日本における医療機器としての臨床試験を2018年10月に終了し、2019年2月に製造販売承認申請を行い、2020年1月に国内医療機器製造販売承認を取得したものです。ロービジョンの方の支援については、民生機器である「RETISSA Display Ⅱ」や新しく発売した網膜投影型拡大読書器「RETISSA ON HAND」、さらには網膜投影型ビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」を通じて継続して取り組んでおります。

 これに加え、眼疾患の早期発見が可能な新しい機器を目指した製品開発も進めております。眼の健康チェックを簡便に実施できる「RETISSA MEOCHECK」の開発・発売に加え、医療機器を想定した眼底撮影装置や新しい検眼機などを、大学との共同研究などを通じて開発しております。

 さらに、網膜走査型レーザアイウェアについては作業支援やエンターテインメント等の分野において大きな潜在需要を見込んでおります。そのため、次世代レーザアイウェアの核となる技術開発を継続してまいります。

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等

 企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、当社は売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しております。現時点では数値目標を定めておりませんが、今後、業界動向及び当社の業績の推移、特にレーザアイウェア事業の立ち上がり等を勘案し、早期に数値目標を決定する予定です。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は認定顧客数の毎年20%増加とし、レーザアイウェア事業は累計販売10万台・年間生産5万台と定めております。

(3)対処すべき課題

今後の世界経済につきましては、ロシア・ウクライナ情勢の展開やエネルギー・原材料価格の高騰、欧米各国の金利引き上げ、円安による物価上昇等により、先行き不透明な状況が継続するものと予想されますが、当社におきましては、「人の可能性を照らせ。」を念頭に、以下の課題に対する諸施策を講じることで、事業の強化を図ってまいります

①レーザアイウェア事業の拡大

 当社の成長エンジンである網膜走査型レーザアイウェア事業を進めていく中で視覚支援領域に注力しており、当領域での販売拡大が課題となっております。民生用「RETISSA DisplayⅡ」「RETISSA ON HAND」においては販売代理店やEコマースサイトを通した国内外販路を拡充し、「RETISSA NEOVIEWER」についてはパートナーとの連携を一層進めてまいります。

 国内販売につきましては、認知の向上を一つの課題ととらえております。盲学校や展示会でのデモンストレーションに加え、当事者が所属する団体など様々な体験会を通じ、製品自体に実際に触れていただくことで当事者及びその家族への認知拡大を図り、さらにSNS等を通じて積極的に発信してまいります。また当事者が購入しやすい環境作りを行うべく地方自治体の日常生活用具助成金給付事業への登録申請活動を進めており、そのスピードを加速してまいります。

 米国向けでは「RETISSA NEOVIEWER」の発売を控えております。遅滞なく発売、販売できるよう、パートナー先との連携を深めてまいります。また、他の機器の米国市場への展開をにらみ、必要な対応を進めてまいります。

 中国については、ゼロコロナ政策の解除を踏まえ、これまでの代理店を通じた販売活動に加え、新たな連携先の探索、協働を通じて、市場への浸透を図ってまいります。

 韓国につきましては、韓国向け製品を出荷しております。補助金対象としての認定を踏まえ、引き続き代理店と協力して活動を推進してまいります。

眼の健康維持(ビジョンヘルスケア)領域の確立

レーザ網膜投影技術を活用した眼の健康チェック機器「RETISSA MEOCHECK」の発売に加え、交通事業者向けのサービスビジネスを立ち上げております。この新たな領域、ビジネスモデルへの取組を着実に進め、事業としての確立を図ってまいります。また、医療機器としての検眼器等についても提携先と上市に向けて原理検証・試作を進め、事業化の道筋を明確にしてまいります

③レーザデバイス事業の成長

 加工、センサ領域では、既存製品の受注継続と拡大、新規品開発と製品化、高付加価値モジュールの製品化を進め、年率25%以上の安定的な事業成長を図ります。通信、LiDAR向けシリコンフォトニクス用量子ドットレーザについては、国内外の顧客からの受託開発と低コスト量産化を進め、2023年5月からの本格量産への準備を行い、量子ドットレーザ事業の強化を図ってまいります。

④マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化

 市場・業界・顧客分析、及び、分析に基づく戦略的営業活動をさらに充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力の強化を図ってまいります。

⑤水平分業提携先との協業体制の維持と発展

 チップ作製、モジュールアッセンブリ、網膜投影機器生産提携先と、将来ビジョン、年間計画、各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、定期的な訪問、打合せ等を行い、より一層の関係強化を図ってまいります。

⑥高品質・安定した製品の供給

 高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行っていきます。

⑦適切なコーポレート・ガバナンスとIR体制強化

 当事業年度にはコーポレート・ガバナンス強化のため、任意の指名委員会及び報酬委員会を設置いたしましたが、今後も開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築してまいります。

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