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企業概要

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は経営理念「今と未来を見える化し 次世代の安心を創造する」に基づき、介護業界の課題に対して業務効率化に寄与するソリューションを提供しております。特に介護領域の担い手不足は国内の人口動態上当面継続する課題であり、施設における介護、在宅介護共に抜本的な対処が必要となっております。当社の創業者であり医師でもある現取締役会長の梶本修身は、自身の親に対する介護の経験から従来の「人の手に拘った事後的対応」を行う介護ではなく、最新のICT(注1)技術を取り入れ「変化の予兆」の段階で把握し、「先んじたケア」を行うことの重要性を認識したと言います。介護をする側、される側共に人としての尊厳を保ちつつ、お互いの心理的、肉体的負担を軽くする、そのソリューションの実現が必要だと痛感したことから、医師である自身が監修しライフリズムナビ+Dr.事業の立ち上げに至っております。

 当社はこの思いを原点に、睡眠データ解析技術、センサフュージョン技術、そして医学的知見を統合することで、SaaS型高齢者施設見守りサービス「ライフリズムナビ+Dr.」を生み出しました。現在、ライフリズムナビ+Dr.はSaaS型高齢者施設見守りシステムとしてNo.1(注2)となっており、先回りの介護で業界を牽引する、まさに次世代の安心を創造するサービスとして展開しております。まずは介護・医療業界の課題に寄り添い、そこで培った技術とノウハウを磨くことで新たな事業パートナーと共に新たな事業領域も視野に入れ、様々な社会課題の解決にも取り組んでまいります。

(注)1.ICT(アイシーティー)とは、「Information and Communication Technology」の略称で、情報通信技術のことです。IT(Information Technology)が情報技術そのものを表すのに対し、さらに通信技術を介して行う技術の活用方法を指します。

   2.2023年10月25日発行 高齢者住宅新聞 見守りシステム アンケート調査より。

(2)経営環境

 高齢者向け介護産業の市場規模は、2025年で15.3兆円、2040年には25.8兆円に拡大する見通しとなっております(注3)。そのため介護サービスの需要拡大は進むものの、担い手としての介護人材不足は深刻であり、政府は2020年度に介護ロボット導入等への補助金を拡充する等、介護ロボットの普及を後押ししている状態です。介護ロボットとは、介護現場の負担軽減・業務効率化を実現する介護IT機器として自動で情報を感知・判断・動作するものとされ、近年多様な介護ロボットが上市されています。当社のライフリズムナビ+Dr.はオプションサービスの「見守りコール」を含め、介護ロボットの「見守り・緊急通報サービス」に該当し、各種補助金・助成金の対象となっております。

(注)3.内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材) 平成30年5月21日

 また今後ライフリズムナビを後述の居宅介護向け、地域包括ケアシステムを推進するサービスへと拡張し、さらに当社の技術やサービスを公的保険外のヘルスケア市場への適用も想定いたしますと、当社事業の対象となる領域は将来に渡って非常に大きな市場であると捉えております。以上を踏まえ、当社ではTAMを3兆4,000億円、SAMを4,000億円、SOMを600億円と推定しております。

※1 2025年における65歳以上世帯数見込2,103万世帯×1台当たり出荷金額(概算)15万円+公的保険外ヘルスケア市場のうち睡眠市場1,900億円+同ヘルスケア関連アプリ市場規模600億円[国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(全国推計)2018(平成30)年推計](平成30年2月28日) / [経済産業省 「次世代ヘルスケア産業審議会の今後の方向性」](平成30年4月18日)

※2 介護予防サービスにおける介護予防福祉用具貸与48,595百万円、及び介護サービスにおける福祉用具貸与350,628百万円の合計 [厚生労働省 令和3年度 介護給付費等実態統計の概況(令和3年5月審査分~令和4年4月審査分)](令和4年9月21日)

(3)当社の強みと事業戦略

 当社のコアコンピタンスは睡眠ビッグデータの解析技術、ライフリズムナビ事業を通じて保有し、今後も増大し続ける膨大な睡眠データ、ハードウェア/ソフトウェアの一貫した自社開発メソッドの三つと捉えております。睡眠データ解析技術はデータの解析のみに留まらず、社会課題や顧客のニーズに寄り添い適切なソリューションとしてご提供する価値化技術も含んでおり、例えば特許化された認知症予測AIの開発等、当社のノウハウや人材も含め強い差別化要素となっております。

 これら三つのコアコンピタンスを中核に、当社の事業戦略として①知的財産戦略、②カスタマーサクセスによる伴走と顧客価値最大化、そして③導入時の機器販売による収益と月額費から構成される、事業を支える強靭なキャッシュフローの維持、の三つを設定しております。これらの事業戦略を追及することで、当社は確かな顧客価値を創造し、継続的な提供を実現しております。

①知的財産戦略

 当社は知的財産を重視しております。自社のシェア獲得のための競争力、他社参入障壁確保の源泉として具体的な知的財産関連の取り組みを継続しております。各種知的財産権に関して当社単独での出願、権利化を推進することはもちろん、他社との共同開発の成果について共同出願を行うなど当社の事業推進上適切な手段により実効性のある知財戦略を取り進めております。また定期的に業界や競合の知的財産の調査も実施しており、特許や商標等相互の侵害状況の確認も行っております。現時点で特筆すべき事案は確認しておりませんが、当社としましては今後もこのような取り組みを積極的に進めてまいります。

②カスタマーサクセスによる伴走と顧客価値最大化

 当社の重点戦略の一つとして、カスタマーサクセスの組織化とその活動が挙げられます。所属する担当者には介護現場経験者や介護福祉士の資格保有者も在籍し、介護現場のニーズや業務上のお困りごとを自ら体験してきた人材で構成しております。そのため当社のサポートはライフリズムナビ+Dr.の機能に関する一般的な内容に留まらず、現場のスタッフが躓きやすいポイントを先読みしたサポートであり、ICTリテラシーが決して高くないスタッフの方々も、脱落することなくライフリズムナビ+Dr.を活用できるようになっております。またこのサポートは個別相談以外にも複数回の定期専用プログラムとしてシステム的に運用しており、目標の明確化からサービスをご利用になる過程で顧客ごとの課題や躓きのポイントを抽出し、個別習熟プログラムとして再構築、実践しております。これらの結果として、ライフリズムナビ+Dr.を十分に使えるようになるだけでなく、さらにその先の科学的介護(注4)を活用したより効率的で発展的な介護に繋げる意欲の醸成まで伴走しており、業界の一般的なサポート部門とは一線を画す手厚いカスタマーサクセスを実現しております。

 さらに、故障対応についてもライフリズムナビ+Dr.がSaaS型であることを活かし、機器やシステムの不調時はクラウドからカスタマーサクセスメンバーに即時通知が届く体制を整えております。介護スタッフが現場で機器の不調に気づく前にカスタマーサクセスメンバーが現場の状況を把握し、先んじて遠隔復旧を実施したり、介護スタッフに対処方法をお伝えすることで、現場スタッフの負担を軽減し、また業務を可能な限り止めない運用に貢献しております。

③導入時の機器販売による収益と月額費から構成される、事業を支える強靭なキャッシュフローの維持

 当社のライフリズムナビ事業における収益は一部のリースモデルを除き主に機器販売のイニシャル収益と月額費のストック収益の二つに分けられます。特に後者の月額費による収益は介護業界では比較的珍しいモデルとなっており、当社の事業のベースを支えております。当社はこの二つの収益により、当社の特徴であるカスタマーサクセス組織の維持拡大を実現させ、その効果で顧客満足度が向上し、低いChurn Rateを実現するという好循環に繋がっております。また今後もライフリズムナビ+Dr.の顧客数増大が見込まれる中では月額費による収益も増大するため、より強靭なキャッシュフローを維持し、スピーディーな投資判断の実行や事業のさらなる拡大に繋げていく源泉としてまいります。

(注)4.科学的介護とは、厚生労働省により科学的裏付け(エビデンス)に基づく介護と定義され、介護現場の情報を収集、蓄積、分析し、その結果を現場にフィードバックすることでさらなる科学的介護を推進することを指します。

(4)中期長期的な会社の経営戦略

①ライフリズムナビ+Dr.のシェア拡大

 当社は継続的な成長のためライフリズムナビ+Dr.のシェア拡大を目指します。まずはライフリズムナビ+Dr.を導入いただいた法人顧客に対してカスタマーサクセスによる伴走を行い、顧客満足度向上により当該法人のグループ施設への追加導入(リピート)を増やしてまいります。また国内各地方に根差し、地域特化型の販社体制を敷く法人と積極的なアライアンスを実施することで、広く地方に分散する高齢者施設に対して効率的に営業し、シェア拡大を実現してまいります。

②事業パートナーシップ体制の拡充とソリューションの拡大

 ライフリズムナビ+Dr.に関するアライアンスだけでなく、インフラ、エネルギー、住まい、家電機器等、介護はもちろん日常の暮らしまでカバーする多様なパートナーと提携を積極的に進めてまいります。これにより、施設介護の見守りやDXだけでなく、居宅介護、地域包括ケアシステムの中での総合的なソリューション事業者へと変革し、社会課題の解決と顧客価値最大化による収益の拡大を目指してまいります。

 上記①、②によりライフリズムナビ事業が拡大するにつれて、当社が保有する睡眠データはますます増大し続けます。現在は睡眠データ解析による介護テック事業者として歩んでおりますが、今後はこの蓄積した睡眠データをベースに、ソリューション事業領域の拡大も進めてまいります。事業ポートフォリオの一環である受託研究開発事業を通し、様々なアセットや顧客基盤を保有するパートナーとの共創を深めてまいります。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社はライフリズムナビ事業における高い成長性及び安定性、収益性を確保する観点から、当社の状況を適切に表す指標として、導入床数の推移、年間リカーリング収益、Churn Rateの推移を重要な経営指標と捉えております。

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①ライフリズムナビ事業拡大の戦略

 現在ライフリズムナビ+Dr.はBtoBの介護施設向けサービスとして提供しており、ライフリズムナビ+HOMEはBtoBtoC及びBtoCの一般ご家庭向けサービスとして展開しております。当社のライフリズムナビ事業で培った技術やノウハウは、新たな価値創出の源泉であり、介護に関わる各企業や福祉法人、自治体などのパートナーと互恵関係を築きながら機能的な連携を実現してまいります。パートナーとの共創を進め、施設介護と同等以上に大きな市場であるBtoBtoCの在宅介護領域、さらには医療サポートも含めた巨大な地域包括ケアシステム市場を牽引する企業を目指してまいります。

②優秀な人材の採用と育成

 当社の持続的な成長のためには、様々な事業領域で経験を積んだ優秀な人材を多数採用し、開発体制、カスタマーサクセス体制、その他営業、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。その中でも特に、ライフリズムナビ事業における顧客価値最大化のために、顧客ニーズを的確に吸い上げ、ソリューション化しお届けする、カスタマーサクセスと開発エンジニアの人員強化に努めてまいります。当社の企業理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組んでまいります。

③情報管理体制の強化

 当社はサービス提供やシステム運用の過程において、睡眠データ等の情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修実施やシステム整備などを継続して行ってまいります。

④内部管理体制の強化

 当社はライフリズムナビ事業における成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。経営の公正性・透明性を確保すべく、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

⑤財務上の課題

 当社は、基本的に自己資金及び営業キャッシュ・フローによる安定的な財務基盤を確保しており、優先的に対処すべき財務上の課題はございません。ただし、今後の成長戦略の展開に伴い、内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの拡大で、さらに財務体質を強化するとともに、株式市場からの必要な資金確保と金融機関からの融資等を選択肢とする等により多様な資金調達を図ってまいります。

⑥社会課題の解決とSDGsの取り組み

 当社は「今と未来を見える化し 次世代の安心を創造する」という経営理念に基づき事業を推進しており、社会課題解決が、結果としてSDGs(持続可能な開発目標)に掲げられる各目標達成に繋がっていくと認識しております。現状においては「3.すべての人に健康と福祉を」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「11.住み続けられるまちづくりを」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」等が当社の事業展開と密接に同期しております。まずは介護業界から、そして今後も、これらのテーマにおけるより大きな社会的インパクトの創出に努めるほか、事業拡大を図る中で、多種多様な産業へと顧客層を拡大すると同時により広範な社会課題の解決を志向し、その他のSDGsの目標達成にも繋がるよう、具体的なアクションや成果を生み出すことを目指してまいります。

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